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SOU・SOUプロデューサー若林剛之によるたわいもない事
若林剛之
一日一駄話
“茶室彼是(ちゃしつあれこれ)【87】”
本日は日曜日!数寄屋大工一家の箱入り娘、寺田 由のコーナーです!

穏やかな海を望む海岸沿いに、今から約40年前に建てられた一軒のお屋敷があります。
祖父と父が手掛けたそのお屋敷は、昭和の終わり世の中がバブルの熱気に包まれていた時代に建設され、年月を経た今はリゾートホテルとして多くの人を迎えています。
数寄屋造りの客室の奥にひっそりと佇む一間の茶室。
普段は閉じられた空間ですが、ホテルからの依頼でここで小さなお茶会を開くことにになりました。
長い間ずっと亭主不在のお茶室。
下見に訪れて驚いたことは、この茶室が一度も使われたことがなく新築のまま時が止まっていたのです。
どうして使われないままであったのか・・・
当時の持ち主がどんな思いでこの茶室を造られたのか・・・
想像すると少しだけ胸の奥がキュっとします。
しかも、その空間での「はじめて」の役目を私が担うことになるとは、なんとも不思議なことです。
とはいえ、身の丈以上のことはできません。
我が家のなけなしの道具をかき集め、抹茶やお花は京都から届けてもらいました。
お菓子はホテルのシェフが特製のマロングラッセを用意してくださいました。
帰宅後にいただいたマロングラッセ、美味しかったなぁ・・・
お客様は5組ほどでしたので順に茶室へご案内し、束の間の時間をお菓子とお茶でおもてなしいたしました。
終わるころには緊張で張りつめていた空気も和らぎリラックスした雰囲気に。
建物に息を吹きかけ、大切に手入れを続けてくださっているホテルのスタッフの方々にも感謝の一服。
私の先生は常日頃お茶のお稽古は何のためにあるのか、
その心得をこう伝えてくださっています。
「お点前の『型』を覚えるためではなく、茶事で客人をおもてなしできるようになるため。(もちろん楽しくね!)」
道具を選び、整え、空間をしつらえる—— —
その一連の流れを考え抜くには、知識や経験だけでなく「心」と「手」がいること。
今回の小さなお茶会を通して、改めてその言葉の意味を実感しました。
昭和の終わり、私が生まれた年から静かに時を重ねてきた茶室。
【父と仕事を受け継ぐ兄、当時、図面を引いていた母と竣工の年に生まれた私。そして今回の茶会を主催されたホテルの女将さんと】
今、に人と人とがつながるひとときを持てたことに、ありがたさを感じる1日でした。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
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4 件のコメント
寺田さん、こんにちは。
よいお茶会になって良かったですね。
どんなに立派な建物でも放置されていたのなら、そのお茶会は出来なかったはず。
おもてなしとは本当に奥深いとしみじみ感じました。
追伸:マロングラッセが魅惑的!笑
chabo様
こんにちは。
コメントをいただきましてありがとうございます。
本当におっしゃられる通りで、色々と考えさせられることの多い時間でした。
マロングラッセは・・・最高でしたよ!笑
読んでいて「素敵!」と思いコメントします。
よし様
コメントをいただきましてありがとうございます。
不定期ですが、コツコツ更新しております。
またお付き合いいただけましたら幸いです!