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“茶室彼是(ちゃしつあれこれ)【88】”
本日は日曜日!数寄屋大工一家の箱入り娘、寺田 由のコーナーです!

日本語には他言語にはない独特の美しさがあると言われています。
私たちが意識的に理解できても、言語化がしにくい日本語ーーー
茶道の世界で用いられる「侘び寂び(わびさび)」はその代表例ではないでしょうか。
正確な定義は曖昧だけど「茶道=侘び寂び」とイメージできる日本人は多いと思います。
そんな言葉のひとつに「数寄(すき)」という日本語があります。
ちなみに・・・
東京にある有名な「数寄屋橋(すきやばし)」は織田信長の弟である織田有楽斎(うらくさい)が建てた茶室があったためと言われています。
もともと「数寄」とは「好き」と同義であり、その「好き」を極限まで追求した人たちが「数寄者(すきしゃ)」と言われる人たちです。
「数寄者」は、茶道具を収集・所有し、茶の湯の美学を深く愛する人。
私は茶湯を愛しすぎた変わり者が多い・・・と思っています。(個人の感想です)
欠けた茶碗や歪んだ椀といった一見不完全なものに価値を見出して、その美しさを高め、
完璧な美よりも、不完全で独特な美を好んだようです。
「この子(茶碗)が生きた証」と言って生涯、お気に入りの茶碗のカケラを懐紙にに包んで持ち歩いたとか(「この子」とかちょっと引く)
本職の重要な役員会議よりも茶会の準備を優先させたとか・・・(今なら臨時株主総会必至です)
「殿、茶碗に魂を抜かれています」と家臣に心配されたお殿様がいたとか、いなかったとか。(暴動が起きそうです)
変人エビソード、おっと失礼!
『偏愛エピソード』は今もなお語り継がれています。
しかし、そんな数寄者たちによって今も日本の文化的レベルが維持されているのも事実。
かつて鉄道王と呼ばれた根津財閥の創始者、根津嘉一郎は多くの日本美術が国外へ輸出されていた時代に、
「この国の美術は、個人が守らないと散逸する」
という信念のもと、膨大な資金を注ぎ込んで古美術を買い支えました。
そういったエピソードもあって現在も根津美術館には国内随一の国宝や重要文化財が収蔵されています。
数寄の精神には、単なる趣味や好みではなく対象を深く愛し極めることの価値と、美の見方の多様性が表れているように思います。
その愛と大胆な功績の積み重ねが、今日の茶道文化を支えているんですね。
《つづく》
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それでは、また明日。
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