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“茶室彼是(ちゃしつあれこれ)【97】”
本日は日曜日!数寄屋大工一家の箱入り娘、寺田 由のコーナーです!

京都の7月は祇園祭一色。
長いような、あっという間のような、不思議なひと月です。
八坂神社のほど近くにあるSOU・SOUで過ごしていると、まるで1か月間、神事の中で暮らしているような感覚になります。
祇園祭の期間中には、八坂神社の神様へお茶をお供えする「献茶式(けんちゃしき)」が行われます。
本殿では茶道のお家元が神様へお茶を献じ、その日にあわせて一般の参拝者もお茶席に参加できる貴重な機会が設けられます。
今回もSOU・SOU伊勢木綿の本間店長とともに、出掛けてまいりました。
ところで、「献茶」って何ぞや?という方も多いはず。
怒られるかもしれませんが、夏なのでフェスに例えてみましょう。
献茶をフェスに例えると…
メインステージ(本殿)
お家元が神様へお茶をお供えする、まさにメインイベント。
サブステージ①(拝服席)
献茶されたお茶のご神徳をありがたくいただくお席。
サブステージ②(副席)
一般の参拝者や来賓向けのお茶席。
サブステージ③・④(副席)
別の流派や団体が設ける、それぞれ趣向の異なるお茶席。
今回は副席が全部で4席ありました。
どのお席から回ってもよし、全部巡ってもよし。
順番も決まっていないので、時間内にあちらへ行ったりこちらへ行ったり。
椅子席もあれば正座のお席もあり、それぞれに趣があります。
ちなみに参加券は、チケットぴあで販売されているわけではなく(たぶん)。
主催する流派を通して頒布されることが多く、人気のお席は抽選になることもあります。
そんなこんなで私たちも各席を巡りながら、祇園祭にちなんだお道具や室礼を拝見し、美味しいお菓子をいただき、夏のお茶席を満喫しました。
今回、とりわけ楽しみにしていたのがこちら。
祇園を代表する格式高いお茶屋さん、「一力亭(いちりきてい)」です。
普段は一見さんお断り。
庶民には近寄りがたい、独特の風格をまとった場所です。
「あの大石内蔵助が遊んだ場所!」と聞いても、全然ピンとこないほどの歴史。
祇園祭の献茶では、こちらに設けられるお席で一服いただけるという、なんとも特別な機会があるのです。
べんがら色の壁に黒塗りの柱。
待合でふと見上げると、立派な額に「鐵斎」の文字。
わたし
「……これ、もしかして富岡鉄斎!? 本間店長、これ絶対鉄斎ですよ! 何て書いてあるんでしょうね?」
ほんま
「ふふふ……全然わかんない。」
※恥ずかしながら、私たちはいつもこんな会話です。
お席へ通されると、お菓子とお茶を運んでくださったのは、色鮮やかな着物にだらり帯を締めた舞妓さん。
あちこちで「わぁ……!」という歓声が漏れていました。
京都の街で舞妓さんをお見掛けすることはありますが、お茶屋さんという本来の場所での佇まいはまるで別世界。
なんとも涼やかで、凛としていて、俗世から少し離れた祇園祭の一面を垣間見たような時間でした。
表からは撮れるけど、裏かの写真は撮れないので記念に。
さて、夏のお茶会は気温との戦いです。
迎える方も、伺う方も、大げさではなく命懸け。
万全に暑さ対策をしていても汗は止まらず、「こんな日に着物を着るなんて、いったいどういうこと……?」と、涼しい顔でお席に臨まれる諸先輩方にただただ頭が下がるばかりでした。
京都の夏は厳しいけれど、その暑ささえも含めて季節の行事を味わうのが祇園祭と言えるのかどうなのか。
今年もまた、忘れられない夏の一日となりました。
《つづく》
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それでは、また明日。
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