毎日更新!SOU・SOU読本
本日は日曜日!数寄屋大工一家の箱入り娘、寺田由のコーナーです!

「風薫る」季節の言葉がぴったり!深呼吸のしたくなる季節ですね。
本日は茶室彼是ちょっとだけ番外編として、季節の華包(はなづつみ)をご紹介したいと思います。
華包、SOU・SOUのスタッフも自宅や実家にと各々で楽しんでいる様子。
魅力はなんと言っても誰でも簡単に花を生られる手軽さですが、そのバックグラウンドには由緒ある伝統と歴史があることが何よりの文化的魅力です。
この魅力を伝えたい!と言うのも率直な気持ちですが、この文化が生活に馴染みながら今後も続けばいいなと言うのが個人的に心から思うこと。
せっかく青葉も芽吹いてきたことです。それならば!とSOU・SOU各所に設置している華包に花を生けてみることにしました!少しだけお付き合いくださいませ。


端午の節句に合わせて京都各店に生けたのは小菖蒲。
家の裏に群生している小さくて雅な小菖蒲は華包にぴったりのサイズ!

花がない・・・
でもSOU・SOUの植木に青々と揺れる紅葉。
そうか、葉っぱだけでも美しい!それが今の季節の贅沢な楽しみ方かも。

家族が育てる山野草の小さな花壇。
小さくて可憐な草花から、よくわからない摩訶不思議な植物まで様々。
その中でも一際かわいらしいピンク色で存在感を放つ撫子。

私が物心ついた頃から毎年同じ場所に咲くムラサキツユクサ。
どこにでも咲く草花も、たった一本でも様になるのが華包の良いところ。
私が言うのもアレですが、上手い下手は正直よくわかりません。
植物素人の私でも生けることを楽しい!と思えるのはちょっとした発見でした。
それに、植物師匠である家族に庭を観察しながら「旬」をリサーチし華包に生けたら良いかも!なんて妄想したりするのも楽しく、歩いているだけで花が目につく回数が劇的に変わりました。
先人のように花で季節をより身近に感じることができるようになれば、忙しない日々の中でも少しだけ豊かさを感じることができるかもしれませんね。
★オマケ★

小さくて妖艶なヒメシャガは杜若のご親戚。
華包には少し小さすぎたのですが、かわいいので店頭に生けました!
《つづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-
本日は日曜日!数寄屋大工一家の箱入り娘、寺田由のコーナーです!

花の時期もひと段落とは言え、かつての賑わいを取り戻しつつある京都。
京都は定期的に開催されるお茶会が日々どこかしらであるのですが、ここ数年の世情もあり大人数での茶会は中止が続いていました。
そんな状況下でご高齢の先輩方などお稽古をやめられた方も大勢いると耳にしたり、実際に私の通うお稽古場でも長い間お稽古を控えられた社中さんもおられます。
そんな中でも少しづつ各地でのお茶会が再開されているということで、お誘いをいただき訪れたのは京都祇園の八坂神社。

お茶会なんて一体いつぶりなのか・・・。
お行儀よくできるであろうかと、一抹の不安が残りながらも先輩方の後へ続けと席入りをしました。
ズラリと並ぶお客様に混ざり私の隣にはお着物を着た年配の女性。
「不慣れなものですが、本日はご一緒させていただきます。」
とご挨拶すると、
「こうやってまた、お茶会ができるのがありがたいわよね〜。」
と、話しかけてきてくださいました。
本当につくづくその一言に尽きる気がします。
まだ所々に配慮の感じられる場面はあるものの、お道具、お花、お菓子と久しぶりのお茶を通して見る世界はとても明るく華やいでおり、まさに春爛漫です。
そうだ、この感じ!と、ひとつひとつを思い出しながらその時の喜びを噛み締めるような時間。
普段から真面目に(!?)お茶のお稽古をしているわけではありませんが、一朝一夕に得難い「感覚」がとても新鮮であり尊く感じます。
場の空気そのものが一期一会。
私が余裕を持って楽しむには100万年早いですが、たくさんお勉強させていただいたお席でした。
また行きたいなぁ、と楽しみが増えます。
そうそう、この日は伊勢木綿手ぬぐい「茶道具」を数奇屋袋にに忍ばせていました。

今までありそうでなかったユニークなテキスタイルです。
私を含め茶道具好きな家族もこのテキスタイルには歓喜!
もちろん、お茶会でお点前を披露した知人にもプレゼントして結局みんなでおそろいに。
SOU・SOU的な茶道具のかわいい!を共有しました。
あーそうだ、お茶の先生にもお贈りしようかな・・・
またひとつ先生との話の花が広がりそうです。
《つづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-
本日は日曜日!数寄屋大工一家の箱入り娘、寺田由のコーナーです!

皆さま、こんにちは。
大雪のニュースかと思えば季節外れの暖かさと、新年早々に目まぐるしい今日この頃です。
さて、本日はお花のはなし。
季節やシーンによって花の種類や花器を選ぶ茶室のお花。
お茶会の席でお花を生ける所作があるため、日々の気楽なしつらえもお稽古(修行)ですが、先生や母の知恵と技を借りることも多々。
ルールが気になったり型にハメようとして、知らず知らずに花を生けることに不自由さを感じていました。
昨年末に発売された京都華包研究会監修の「SOU・SOU華包(はなつつみ)」をご覧いただきましたでしょうか。

見た目にも日本らしい文化を感じる華包。
これなら私にもできるだろう・・・
と言うのが正直なところで、自宅で挑戦してみることにしました。
花束とは違いお花は最小限の1〜2本あれば十分です。
私は春の匂いに誘われて求めた水仙と、庭の椿を用意しました。


水仙は華包の後ろに付いているフックを使って床の間に。


椿は庭の腰掛けに置いて撮影しましたが、室内で置き花にして飾っています。
企画ページでは、お家元方がとても楽しそうに華包を生けておられる写真が印象的です。

伝統ある別々の流派が一つの文化を復活・普及させるために一緒になって取り組まれると言うのは、実はとても凄いことなのではないかと思います。
「好きこそ物の上手なれ」ではありませんが、何ごとも楽しさに勝るものはないということですね。
私は引き続きお茶のお稽古は精進し、たまには気楽にお茶をしたり花を生けたりと自然な日本の文化を生活の一部として楽しめればいいな〜!
と、毎年こんなことを言いつつ、お稽古はいつまでものらりくらりです。
皆さまもぜひ、ご一緒に日本文化の楽しさを共有できれば嬉しいです。
今年も不定期ですが「茶室彼是」にお付き合いくださいませ!
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
《つづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-
本日は日曜日!数寄屋大工一家の箱入り娘、寺田由のコーナーです!

気持ちの良い秋空が続いております。
京都にも行楽シーズンの到来です。
今年は千利休生誕500年の節目の年だそうです。
京都には茶の湯に関係した大小の美術館がとても多く、どの美術館も特徴やみどころがあります。
お茶を身近に感じられるところが京都らしく、またそんな節目の時期には、それぞれの美術館でトピックをリンクさせた展示が行われたりと京都らしい楽しみ方ができるのも個人的には良いなーと思うところです。
さて、本日ご紹介するのはこちら。
京都国立博物館で開催中の特別展「茶の湯」

楽しみにしていた展覧会に早速、行ってまいりました。
内部は撮影禁止ですので、言葉でお伝えしようと思います。
「盛り沢山!」
とにかくこの一言に尽きます。
これも、あれも、それも国宝!
こんなに一度に見せてもらって良いのでしょうか!!
本当に「茶の湯」の全てがここに集まった!そんな贅沢な展示が終始続きます。
また、私たちが「茶の湯」と想像できる時代以前の茶の湯のルーツとも言える時代の展示が非常に丁寧にされていたことに驚きました。
仏教との関わりから、有名な戦国武将たちとお茶の関係性、壮大な歴史ドラマを観ているかのようです。
千利休の弟子でもある茶人、古田織部は利休から「人と違うことをしなさい」と言われていたそうです。
あえて弟子にそう言い残した利休にももちろん織部に対する信頼あってのことだと推測できますが、なかなかそれに応えることは容易いことではありません。
利休が確立した『侘び寂び』と言われる新しい美の価値観に対して、織部はあえて崩した茶碗や継いだ茶碗など、破天荒とも言われる『動の美』を表現しました。
一見わかりにくい造形美は、表現者の想い哲学がきちんと伝わることで成立し、人々の心に刻み込まれる。
現代の私たちが見てもその哲学的な魅力と新鮮さを感じるのは、織部の美意識が闇雲なかっこよさではないことを証明しているようにも感じました。

んー、今夜は「へうげもの」をもう一度読み返そうかな・・・。
《つづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-
本日は日曜日!数寄屋大工一家の箱入り娘、寺田由のコーナーです!

すっかり秋になり、野道に咲く秋色の草花が夏の間に高揚した気持ちを落ち着けてくれるようです。
空気が澄み、帰り道には大きなお月様がとてもきれいに見えます。
「あー、秋だなぁ。」としみじみ。
そんなお月様の綺麗な季節、いただきものお菓子にこんなお菓子が入っていました。

とらや謹製 『残月』
半月の形をした生姜入りの焼菓子。
残月とは、有明の空に浮かぶお月様のこと。
薄っら浮かぶ白いすり蜜は薄雲を表現していとのこと。謂れを知るとなんとも風情のあるお菓子です。
季節にちなんだお菓子は和菓子の醍醐味でもあります。
「残月(ざんげつ)」と聞くと、もう一つ思い出すことがあります。
お正月に決まって尋ねるお宅にはお茶室がいくつかあるのですが、いつも通される応接間の手前には一際大きな和室がありました。
よく見るものより大きな床の間の柱には結柳。お正月の言祝ぐしつらえに、厳かな空気は言葉で言い表せない日本の美意識を感じる空間。
歳を重ねるごとに息を呑む思いで見ていました。
「このお茶室はいつ見ても、ええなぁ。清々しいわ。」と思わず言葉にすると決まって母は「あぁ、残月やなぁ。」と言うのです。
その時は気にもしていませんでしたが、「残月」と言うこばを聞くとその時の空気がよみがえります。
その母の言う「残月」がこちらのこと。

『茶の湯 こゝろと美 表千家監修 不審庵文庫編 河原書房』参照
茶道、表千家の「残月亭(ざんげつてい)」この茶室の作りを模した茶室のこと。
私たちがイメージする床の間よりもぐっと奥行きがあり、天井の高さにも動きがあります。
利休の聚楽屋敷にあった書院を写したものと言われており、いかにも厳かな雰囲気。
この残月亭は、上段の柱に太閤豊臣秀吉がもたれて突上窓(今でいうところの天窓)から月を眺めたことに由来するそうです。
ちなみにその柱は「太閤柱」と言います。
本やドラマで見る秀吉のイメージからは想像しにくいですが、戦国の乱世に生きて茶に精神世界を求めたロマンを感じますね。
その時に眺めた月と私たちが眺める月もきっと同じ月。
なんて・・・。
気持ち良い夜空、皆さんもぜひ秋の空を見上げてみてくださいませ。
《つづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-
数寄屋大工一家の箱入り娘、寺田由のコーナーです!

朝晩と過ごしやすくなり、窓を開ければ虫の鳴く声が心地よいこの頃です。
今や電子書籍にモバイルコミックが主流の時代ですが、私はもっぱらの紙♡ラバー。
読みたい本を探すときは、本棚の奥をゴソゴソと掘り出すのが大好きです。
我が家には祖父が残した本が多く残っています。
建築やお茶に関係する本が特に多く、もはや日本語でも読めない漢字の羅列に目眩を起こしそうな本や、季節の花や道具がレトロなカラー印刷された本まで様々です。
最近、たまたま手に取った本で、気に入ってペラペラと眺めているのがこちら。

「茶のこころ 一日一話」千宗室著
表紙の写真からして歴史を感じるこの本は昭和58年に出版されたもの。
先代の裏千家家元、現在の千宗玄大宗匠がお書きになられた本です。
一日一話ずつを気軽に読めるように、平易な文章で書かれたコラムです。
一つの話に日付がついているので、その日の文章を読んで季節を楽しむのも良し、パラパラとめくって目に止まった記事を読むのも良し。

私はもっぱら後者ですが、せっかくなので本日、8月28日の記事を覗いてみましょう。
一盌のお茶が目の前に出た場合、自分が先に座っているのだから、隣の人に何もわざわざ「お先に」ち言わなくても、さっさと飲めばいい、お点前をしている人に「お手前いただきます」「ありがとうございます」と、挨拶しなくたっていい、その人は点てるためにそこでお手前をしているのだから、という論法が出てくるかもしれません。しかし、それは自分勝手であって多くの人と一会をしようと思うなら、そこにおいてお互いに譲り合っていこうという気持ちの良い雰囲気を作らなければなりません。
隣の人より自分が先に飲むのですから「お先に」と、そしてお手前をしていただいた人には、自分のために、これほどまで色々な道具を媒介にして、湯加減を整え、お茶を点ててくれたのだと、感謝しなければなりません。
※「茶のこころ 一日一話」千宗室 著より引用
もちろん、主たる話題はお茶についてですが、私たちの暮らす俗世に通ずる人生哲学のようにも感じます。
礼儀作法やお稽古の心得、禅の心、自然のこと、人との付き合いについてなど、様々な経験をされてきた大宗匠だからこそのお話し、大切に心の宝物にしておきたい教えやお話も多く、いつ開いても心の拠り所となってくれるような一冊です。
物事の当たり前という傲りや、人に対する思いやりなど幼少期に親から教わるであろう、生きていくための基礎を見失ってしまった時、どうにか心を落ち着けて己の信念と素直な心に立ち戻ることが一服のお茶にはできるということ。
猛スピードで世の中の価値観が変わる中、この約40年前の本の内容は揺るぎない日本人の精神価値を私たちに伝えています。
伝統が物質的なものではなく『人の心』だと言うことの証明でもあります。
ペラペラとめくっては、ふぅーん、なるほど・・・。
と、出てくるのはため息ですが、いつか私の心の中の記憶から大宗匠の言葉が飛び出てくるかもしれません。
さて、皆さんは夏休みの宿題終わりましたか?
そろそろテレビから「サライ」が聞こえてくる頃です。
(こちらも私の伝統!私は毎年サライを聴きながら宿題をしていました。)
夏の終わり、暑さをちょっと名残惜しく思いながら、一服のお茶でどうぞゆっくりとしたひと時を過ごしましょう。
《つづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!

約1ヶ月間続いた祇園祭もいよいよ終盤へと差しかかりました。
3年ぶりの宵山や鉾の巡行とあって、京都の街中は賑やかな日が続きました。

なんせ1ヶ月の間、何かしらの行事が京都の街で行なわれるとなれば祇園祭の楽しみ方は様々です。
通勤途中に行事に出会したり、休みの日に町歩きを楽しんでみたりと普段とは少し違う京都の街。
今年は開催される!との情報を聞きつけ、楽しみに訪れたのが四条室町を少し上がったところに鉾を建てる菊水鉾のお茶席。

菊水鉾が建てられる場所には、かつて千利休の茶の師である武野紹鴎(たけのじょうおう)が住んでおり、この場所にあった「菊水の井」と言われる井戸にちなんで「菊水鉾」と名付けられたそうです。
(武野紹鴎はお茶を簡素化させた「詫び茶」を確立したと言われています。)
お茶席は期間中、日毎に各流派が茶席を受け周りで担当します。
私が行った7月15日は遠州流の担当でした。

鉾のすぐそばの会所に椅子と机が並べられ、壇上で亭主がお点前を披露されます。
祇園祭や菊水鉾にちなんだお道具や室礼を拝見するのも楽しみです。
お客さんは気楽に楽しめるのが嬉しいですが、大勢のお客様を前にお点前をするとなると緊張するだろうな・・・。
なんて、余計なことを考えてしまいました。想像しただけで手が震えてしまいます。
気楽なお客(私)はと言うと、目の前のお菓子に釘付けです。
お菓子は亀廣永謹製「したたり」という黒糖の虎狛羹。

菊の葉の露を飲んで700歳まで生きた不老長寿の薬水という中国の故事に因んだお菓子。
それでなくとも、いろんな人から「ゆうちゃんは長生きしそうと!」言われていますが、不老長寿の縁起を持つ菊水鉾でいただくと一層ありがたみが増します。
※「したたり」は期間中、菊水鉾でも購入することができますよ。
そして器は菊の花を模ったもの。
この器は各自で持ち帰ることができ、色違いのお皿をコレクションしている方も多いそうです。
菊水鉾の場所だからこそ意味あるお茶席。
毎年人気なので、事前に申し込むのがおすすめです!
普段はなかなか目にすることのない他流派のお点前も拝見でき、他の鉾とは少し趣の違う雰囲気を楽しめました。
お社中の皆さんお揃いの浴衣も素敵ですね。

当たり前だった祇園祭も久しぶりとなると楽しさも一入。
あれもこれもと、ついつい欲張って楽しんでしまいました!
SOU・SOUのスタッフもそれぞれにお気に入りの鉾や祇園祭の時期には必ず訪れるスポットがあるようです。
やっぱりみんな祇園祭を楽しみにしていたんだなぁ!
最後は仕事の後にみんなで宵山へ繰り出しました。

ここはお茶ではなくて、もちろん大人の水で♡
来年も、10年後も、50年後も100年後も変わらず祇園祭を楽しめますように・・・。
《つづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!

SOU・SOUプロデューサーの若林は京都芸術大学で授業を行なっているのですが、学生さんが作品のタイトルに悩んだら和菓子の名前を参考にすると良いとアドバイスするそうです。
「和菓子の名前には風情のあるものが多く、知らないような言葉でも季節を感じるものや意味のあるものがあるから参考になるよ!」
ということ。
そう言われてみると確かにそんな気もしませんか?
ついつい、花より団子?いや、風情よりあんこ!と食いしん坊の血が騒いでしまっていました。
ということで、若林のアドバイス通り今月はお菓子の「銘」に注目しながら和菓子を楽しみましたのでご紹介いたします。
『更衣(こうい)』虎屋謹製
衣替えの時期に3日間だけ販売されるお菓子。
モダンなシンプルな見た目ですが、表面に掃かれた和三盆が涼しげな夏の衣を表現しています。
なるほど、そう言われれば6月の風が頬撫でるよう!
ちょっと大人な色気を感じるお菓子です。
『雨上がり』ZEN CAFE(鍵善良房)謹製
どんよりとした薄雲の梅雨空にコロンと色鮮やかな紫陽花のよう。
そぼろ状になった餡を餡玉に丁寧に付けて作られる「きんとん」。
定番の和菓子も色で季節を見事に表現できる美的感覚に感動すら覚えます。
ちょうど、店内にも儚げな紫陽花がいけてありました。
神様は憂鬱な季節も楽しめるように紫陽花の神秘的な色を創ったのかしら?そんなふうにも感じます。
皆さんはどんな雨上がりを想像しますか?
『水仙妹が袖(すいせんいもがそで)』虎屋謹製
日本人だってパッと見て意味のわからない日本語は多い。
「妹(いも)」というのは妻や恋人、姉妹などの女性を親しんで呼ぶ言葉だそうです。
そんな妹(いも)の纏う夏の軽やかな衣から紅白が透ける鮮やかで愛しい気持ちのお菓子。
私も兄がいるので、そんなふうに想ってくれるでしょうか・・・
いやいや、私のことは「妹」より「芋」だと思っているだろうな。残念。
お茶のお稽古を始めた頃、ありとあらゆるものに「銘」をつけて尋ねる作法が不思議でなりませんでした。
道具にもお菓子にも銘はなくとも相手に伝えることができるのに!
なんて・・・今思えば、我ながら風情のないことです。
ですが、こうして丁寧に物事の見つめると和菓子の銘ひとつとっても、短い言葉で最大限に想い感じることができ、その向こう側にある物語への想像力を掻き立たせます。
なんとも繊細で優美な感性ですね。
これからは食いしん坊をちょっぴり封印して、季節や風情を楽しみ、美しい日本の言葉と仲良くなりたいと思います。
《つづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!

数奇屋大工一家に生まれただけで、お茶を嗜むというより気ままに楽しんでいるだけの私のたわいもない話。
今回はちょっと番外編!として父と私のお出かけにお付き合いくださいませ!
大人になってから一緒に出かけることもなくなってしまいましたが、ある日の休みに娘サービスしてやるか!と思う父と、たまには親孝行してようか!という私の思惑が奇跡的に一致し、一緒に出かけることに!
朝早くから出かけた先は大手建設会社が開設した神戸にある日本唯一の大工道具の博物館「竹中大工道具館」。
少々マニアックにも思えますが、展示はかなり充実しており見どころ満載!
大工道具の展示から社寺建築の解説まで、どちらかといえば大人の方が楽しめてしまう内容です。
私は以前にも訪れたことがあるのですが、ここはやはりプロの大工さんを連れて行く方がより見聞が広がるだろうという下心・・・。
道具のことについては正直よく分からないところもあるのですが、私が特に気に入っているコーナーは「棟梁の言葉」という展示。
法隆寺や薬師寺といった数々の歴史的建造物の改修や修復に携わられた宮大工の西岡常一棟梁の言葉。
大工の世界で知らぬ者はいないほどの棟梁です。
祖父も父も「棟梁」として仕事をしている姿を見て「責任者」や「現場監督」とは違うニュアンスで理解してきた「棟梁」という存在がより具現化された言葉。
この言葉を目にしたとき、歳を取っても山へ足を運び木を見極めていた祖父の姿がふと目に浮かびました。
そして記録に残る緻密なメモや計算。
一見、経験や長年の勘がモノをいう世界のように感じますが全ては計算。
施主、建物、材木、職人、全ての些細なことにも気を配ることができなければ、棟梁は務まらないのだと思います。
大工でなくても全ての人に当てはまる部分があるのではないでしょうか。
さて、自由行動すぎる父を捕まえて見学したのは数奇屋建築のコーナー。
実寸大の茶室駆体があり、実際に中に入って見学することができます。
解説というより非常に小言がうるさい。
私の祖父は一緒に美術館に出かけると、展示してある茶道具全てに値段を付けながら鑑賞をするという曲者でしたが、父もなかなかの素質の持ち主です。
ですが、色々な考え方や信念を聞くと数奇屋建築がいかに概念化されず繊細で美的センスが集結された建物かということが具に感じられます。
結局いつも仕事(建築)の話しかできない父娘ではありますが、それもまた我が家らしい休日です。
《つづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!

薫風に揺られ青空を雄大に泳ぐ鯉のぼり。
5月5日は「端午の節句」ですね。
もともとは中国からの文化が独自に進化していった「節句」。
慌ただしく過ぎる日々で、ついつい忘れてしまいがちになる季節の移ろいや行事ごと。
時代に合わせて手軽になったり、簡単になったりするのも良いですが季節の節目にほんの少し立ち止まって家族や身の回りの人々の健康や幸せを願ってお祝いする文化が日本的でいいなぁ、と思います。
我が家の床の間も早々にお雛様を仕舞い、端午の節句に合わせて母が鎧兜を設えました。
端午の節句に飾る鎧兜は武家社会から生まれた風習だそうです。
兜は子供の体を守り、力強く育って欲しいという願いを込めて飾られています。
武家や侍と聞くといかにも「大和魂」などというような気になってしまうのは、武家への憧れや風習が現代の私たちの生活にも大いに影響しているからだと思います。
茶道もそのひとつ。
お正月になると新年を祝う「初釜式」が各お家元で開かれ、その様子をニュースなどで目にします。
そこでずらりと並ぶのは総理大臣をはじめとする政界や財界の重鎮。
総理大臣になる人は有無を言わさずお茶を嗜まないといけないなんて大変だなぁ、なんて素人ながらに思ってしまいます。
また、茶席に並ぶのは圧倒的に男性が多い印象です。
浅い知識ながらも茶湯にまつわる展覧会や書籍などを見てみると、そこでも主役となるのは男性。
それも時代を動かすような偉人たちは皆、茶道を嗜み、茶会を開き交流を図っている様子です。
「道具に凝る」という点でも、世が世なら命と引き換えにして扱われていた道具。
近世でも財閥などの男性がこぞって世界各地の骨董に魅せられ自慢の道具を茶会で披露している記録が残っています。
一昔前までは茶道は「花嫁修行」の筆頭であったようでしたし、その名残もあってか現在の茶道人口も圧倒的に女性が多いそうですが、歴史的に見ると昔からお茶は男性の嗜みだったようです。
もちろん現代は男性も女性も関係なく茶道を楽しめる時代。
(現代に生まれて良かったと心からそう思います!)
SOU・SOUはもちろん男性スタッフもお茶のお稽古に通っており、SOU・SOU傾衣の川勝店長は毎回傾いてお稽古しているそうです。
SOU・装でのお点前も100年続けば、新しい文化になるかもしれませんね。
《つづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!

かつて一度だけ、祖父がグッドデザイン賞を受賞したことがあります。
(京都・光悦寺と新日本製鐵株式会社と共同出品)
伝統建築を継承する数奇屋建築は、現代的なハイカラなデザイン賞とは程遠い印象ですがその際の受賞は
「お寺のチタン屋根」
というもの。
「チタン」と言うと自動車や宇宙開発、医療分野でも使用される金属。
そのチタンを瓦や銅板のかわりに屋根材に使用した、というものでした。
お寺だけではありません、チタンをお茶室の屋根に使用することを祖父は熱心に研究していました。
屋根は常に風雨に晒され厳しい環境下で徐々に劣化していくもの。
建物を傷ませる最大の原因は雨漏りであり、一度、雨漏りをすれば建物の耐久年数はぐっと短くなってしまうことを憂いていました。
数十年ごとに屋根を葺き替えるコストも膨大となれば継承していくことも困難になっていきます。
▲新日鐵住金株式会社 茶室フォーラムの際のパネル展示
《https://www.titan.np-nippan.co.jp/chashitsu_forum.html》
チタン屋根のメリットは長持ちして環境に優しいという点。
銅葺きの屋根と違い、腐食や錆もなく他の材や薬品にも反応しません。
私が驚いたのは、よく見かける銅板葺きの屋根は雨が降ると成分が溶け出し、銅の殺菌力で露地(茶庭)の苔の育成に影響するということ。
露地に瑞々しく茂る苔は何気ない景色の一部ですが茶庭には欠かせないもので、季節や環境に左右されやすい非常にデリケートなものです。
大切な苔の育成に影響するとなれば、屋根を全部チタンに変えれば良いじゃない!
と、なりそうなものですが、そうはできないデメリットもあります。
一番のデメリットはコストがかかること。
チタン屋根の寿命は約200年と言われていますので、その年数分のメンテナンスを考えれば突飛な金額ではないと言われても、自分の代で200年分のメンテナンス代を補うのもなかなか大変なのも現実。
そして、まだまだ実績が少なく近代の製品であるために文化財として認められていないのも今後の課題です。
ですが、これからの茶室の屋根のスタンダードになる時が来るかもしれません。
《つづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!

「お茶って興味はあるんですけど、一回やりはじめたら同じところにずっと通わないといけないじゃないですか・・・やめられない感じも怖いし」
知人との何気ない世間ばなしだったのですが、この言葉はとても率直な感覚だと思います。
「道」である以上、単なる習い事ではなくある種の修練のような面もあるのではないか?
真理を極め追求する、そんな心構えが求められているのではないか?
そこまではちょっとねぇ・・・。
そんな「気」が、より敷居を高く感じさせてしまっているような感じがします。
もちろん、そういった茶道の精神が今日までの茶道文化の礎になっていることは間違いありません。
私はご縁あって良い先生に出会い楽しくお稽古をしていますが、そうでない場合ももちろんあると思います。
何ごとも「はじめて」で大切なのはポジティブな印象ですね。
SOU・SOUのスタッフはほぼ全員が茶道未経験で入社してきます。
まさかお茶のお稽古に通うなんて想像だにしなかったスタッフもいるでしょう、いやほとんどがそうだと思います。
それに加え、お茶のお稽古に対して楽しいイメージを持つ方が少数派かもしれません。
SOU・SOU代表の若林はそんな「食わず嫌い」を諭すような親心で「楽しいお茶」を知ってほしい。
とSOU・SOU茶室を作りました。
SOU・SOU茶室が完成し、ここでお稽古がはじまって約1年。
お稽古の様子を写真で見たり、スタッフ間での会話になったりとお茶のお稽古が特別なことではなく、SOU・SOUでの日常に溶け込んでいるのを感じます。
▲普段のほんわかした雰囲気とは違い真剣な眼差しの中島。
普段とは違う様子を垣間見ることができますね。
▲さすが瀬野店長は所作やお辞儀が美しい。
人の所作を見て学ぶことも大事なお稽古だと感じます。
そして、実はこの様子が一番気になっているのはこの茶室を作った私の父。
何かにつけて度々、「茶室、使ってる?」と私に尋ねてきます。
私はこのお茶室でのお稽古はしていないので、いつも適当な返事ばかりしてしまうのですが、
茶室を作った後どうなったかが気になるというよりも、実際に使っていることが嬉しいようです。
ですので、このお稽古の様子を父に見せて喜ばせたいと思います!
《つづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!

学生時代、毎週のように遊びに行っていたお宅がありました。
元々は祖父の古くからの知人で、ご自宅でお茶のお稽古をされている先生でもあります。
当時、私はお茶のお稽古をしていなかったので、おしゃべりしながらお茶を飲んだり一緒に食事をするのが楽しみで厚かましくもお邪魔していました。
お台所でよく眺めていたのが、割烹着姿の先生がお菓子作りをしている光景。
いつもお鍋には小豆が炊かれ、優しい匂いが立ち込めていました。
そしてその横ではお砂糖と粉に紅を垂らして混ぜた色とりどりの粉を、蝶や桜の木型に摺り入れてコンコンと木枠を叩くと、型から可愛らしい干菓子がコロンコロンと出来上がる。
先生は、そうして季節ごとのお菓子を全て手作りしておられ、私はその横で出来立てのお菓子をつまみ食いをするのが楽しみでした。
前置きが長くなリました。
またまたお菓子の話ですが、お付き合いくださいませ。
京都の祇園に小さな美術館があります。
「ZENBI」
くずきりが有名な「鍵善良房」さんの美術館。
▲入館チケットも黒田辰秋の棗をオマージュしたもの
美術館からほど近いお店へ行くと、人間国宝・黒田辰秋の美しい漆の作品と一緒に干菓子の型が並んでいます。
くずきりと並んで名物なのが美しい季節の干菓子。
現在、ZENBIではそのお菓子の型がずらりと展示されています。
桜や紅葉など季節の定番の木型から、菊を模った鍵善の代表的なお菓子「菊寿糖」の木型もあります。
▲元治元年(1864年)に新調された木型。幕末、池田屋事件のあった年です!
お茶とお菓子、切っても切り離せない組み合わせを美しく表現するところが日本的です。
まずはお菓子を鑑賞し、口に含んで甘みを感じお茶をいただくとお茶の美味しさが一層引き立ちます。
あぁ、想像しただけでも豊な時を感じます。
この展示の魅力はなんと言っても、実際に使われていた道具であるというところ。
木型を掘る職人さん、お菓子を作る職人さん、お菓子を愛でお茶を楽しむ人々の一連の繋がりも一期一会なのかもしれません。
京都のSOU・SOUへお越しの際はお菓子屋さんの小さな美術館へ立ち寄られてみてはいかがでしょうか。
※展示内容などはご確認の上、お出かけくださいませ。
《つづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!

3月に入り、急に春らしい陽気になってきましたね。
母が毎年、床の間に飾ってくれるお雛様を見ると少々枯れかけた乙女心にパッと花が開きます。
起源を辿ると古代中国まで遡りますが、日本へ伝わり独自に発展した文化が今の雛祭り。
雛祭りが近くなると、雛祭りにちなんだお茶のお道具やお菓子が出されることも多く
それがまた、どれも可愛らしく心が「トキメク」という言葉がぴったりです。
そして、京都でよく見かけるお菓子がこちら
「ひちぎり」亀屋良長謹製
諸説ありますが、宮中で忙しさのあまりお餅を引きちぎって作られたことが由来だそうです。
私は母から、あこや貝に見立てた「あこや」というお菓子だと教えてもらいました。
(お店によって名前や意匠に違いがあるようです。)
見た目にも春を感じるひちぎり。
雛祭りは女の子の健やかな成長を願う意味もありますが、
長い冬から春の芽生を待ち望んだ人々の喜びを感じるような気がします。
《つづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!

内輪の小さなお茶会、とは言っても私にできる最低限のおもてなしを・・・
と考えた時に必須だったものは3つ。
お茶・お菓子・お花
お茶とお菓子を購入できるお店は此処、京都で困ることはありません。
問題はお花です。
私の母は植物好きで、どこからともなく持って帰ってきた季節の花々を部屋に活けて日々のおもてなしをしています。
「どこからともなく」とは生垣や庭の植物、畦道の草花、散歩途中で出会った方に分けてもらったり様々。
でも、急に都合よく頃合いの花を手に入れることは私には少しハードルが高いな〜。
なんてことを考えていた時に出会ったのが、和花を扱う花屋さんの存在。
京都のSOU・SOUからも程近い「花政」さん(数軒隣は新撰組でお馴染みの池田屋跡)は創業160年を越える老舗中の老舗の花屋さん。
店内には小さな花や実をつけた枝や青々とした葉の椿など、小さくて可憐な山野草や和花が並びます。
日本人だからなのか、それとも自分が野山を駆けて育ったからなのか、和花には洋花の華やかさがなくとも心トキメクような可愛らしさがあります。
さて、床に活ける花を求めに行きましたが、どんな花がどれだけ必要なのかもわかりません。
お店の方に花を活ける場所と花入れと用途を伝え、見繕っていただくことにしました。
椿と山茱萸(さんしゅ)の枝。
見たこと聞いたこともない山茱萸、自分では絶対に選べないチョイスで季節の植物を知ることも大切な勉強です。
そして、2週間程経った別の機会に同じように茶室に活ける花を探しに行った時のこと。
お店の方は私を覚えていてくださったようで、その日は前回とは違う趣の椿と雛祭りが近かったこともあり桃を勧めてくださりました。
その際、少し複雑な形状になっていた椿の枝を見て
「この蕾を使ってくださいね、あとこの葉っぱを生かしてください」
と、アドバイスをくださいました。
お茶室のお花には葉の枚数などの決まりがあり、初心者の私は自然の枝木を相手に悪戦苦闘。
いつまで経っても準備が進まず花と戯れるのが想像できるだけに、このアドバイスは本当にありがたかったです。
そのアドバイス通りに活けたつもりですが、やはり先生のようにはいきませんね。
もっと自然に目をやり花の声に耳を澄ませたいと思います。
《つづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!

若林を長いことお待たせして完成したSOU・SOUの茶室。
「エルメスのバーキンより長いこと待ちましたー!」
と、若林に冗談を言わせてしまうほど本当にお待たせしました。
SOU・SOUスタッフの皆も茶室の存在すら忘れていたであろう、お日柄の良い日に無事、引き渡しの運びとなりました。
その日、若林の計らいで茶室の試運転も兼ねて私の両親に一服お茶を点てることになりました。
もちろん若林が・・・
ではなく私。私!?
いつぞやの打ち合わせでのこと
若「茶室ができたら君を一番最初に使わせてあげるわー」
私「いやいや、結構です!依頼主を差し置いてそんな厚かましいことできません!」
若「そんなん、関係あらへん。」
私「あ、はい。」
こんな会話が現実になってしまいました。
とは言え、準備って何するんやろ?
道具一式は用意されていたのですが、その他は「好きにしーやー」とのこと。
「好きにしーやー」が一番困るやつや・・・どないしよ。
と心の中でぼやきながら、見様見真似で準備することに。
主菓子には単に私が食べたかった「雪餅」(千本玉壽軒 謹製)を。
お干菓子には伊藤軒×SOU・SOUのお菓子を2種類用意しました。
お花は椿と山茱茰(さんしゅ)。
いや、お菓子ってこんな出し方でもええんやろか?
え?お花ってこれでええんやろか?なんか違う!?
もう頭の中が「これでええのんー?」の大合唱!
お花の具合がどうも・・・ということで母親にラインをしてアドバイスをもらったのはここだけの話。
良いも悪いも、ひとまず親だからいいか!
と、無理やり自分を納得させて、いざ茶室へ足を運ぶと自分の両親と社長の若林夫妻が並んでいます。
緊張などと言葉にできる感覚というより、クラっと立ちくらみがしました。
若林の方を向くと急によそよそしくなり、なんとも言えぬアウェー感。
ですが、最初こそ緊張感もありましたが徐々に和やかな空気になるのは狭い茶室空間ならではのことかもしれません。
ちなみに、緊張した私の手から伝わって柄杓の先からポトっと炉縁にお湯が落ち、真っ新な畳に茶杓からサラっと抹茶が落ち・・・
粗相をしてしまったことで見事に私が「初汚し」の汚名をいただくことになってしまいました。
これで、後から使うスタッフが心置きなく使えると言うことでお許しいただきたいところです。
至らぬことが多く、茶道の先輩方には到底ご披露できるようなものではありませんが、経験として忘れられない一期一会となりました。
正解があるようでない中で試行錯誤しながらの大いなる大冒険。
若林の粋な心遣いに両親共々感謝しかありません。
《つづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!

気がつけば、おかげさまで「茶室彼是」も52回目となりました。
そういえばSOU・SOUの茶室ってどうなったの?
ということで、久しぶりにSOU・SOU茶室のお話。
SOU・SOUの茶室は使い勝手の事情なども考慮して、釜を懸ける炉壇(ろだん)を炭ではなく電気にいたしました。
お茶では炭を使ったお点前などもあり、炭の匂いや音、赤々と燃える炭や周りの灰もひとつの景色として愉しみますが、安全性や準備、後片付け、毎度のお手入れなど色々と手間がかかるのも現実です。
炭を使うことはとても贅沢なことだとつくづく感じます。
そういったことを一手に解決してくれる文明の力が電気炉壇。
熱線が回らされているだけでなく、五徳の位置が違う流派ごとの仕様があります。
(しかも、炭に見立てた部分が赤くなる細かい仕様!)
茶室が完成に近づいたある時、何気なく若林が父に尋ねました。
「炉縁(ろぶち)ってどうしたらいいですか?」
炉縁とは、炉の周りの木の枠のことで、茶室を使うのに必須な道具のひとつでもあります。
そんな道具を売ってるところ・・・まぁ、見ることないですよね。
サイズも共通なのかどうなのか?
当然の疑問です。
「普通は道具屋さんで購入したりできますけど〜、作りましょか。」
「ホンマですか〜!ありがとうございます〜。」
と言うことで、炉縁も別注ということになりました。
SOU・SOU茶室のための炉縁は兄が「栗」の木材を使用して製作しました。
納品の際には吸い付くようにピッタリとはめられた炉縁。
簡素で質朴ですが、新しい茶室にしっくりと馴染む木肌が清々しく気持ちが良いものです。
これで準備が整った、そんな気持ちがいたしました。
《つづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!

前回の続き
金閣寺内にある「常足亭」が完成したのは2003年の春。
もともとあった常足亭を移築にあたり、解体前のお別れの茶会で施行を依頼された言います。
依頼にあたっては
「将軍にふさわしい席を、その他の一切を任せる。」
とお施主様は申されただけだったそうです。
日本文化の頂点、室町文化の象徴でもあり『鳳凰』がいる場所の茶室。
拝命を受けた祖父は当時、あまりの大きなことに悩みに悩んで熱を出して寝込むほどのことだったとのこと。
そして、考えたことは
「この茶室でどのような茶会が行われ、どのような道具が使われるのか」
と言うこと。
金閣寺について歴史的背景や関連する文化、芸術などを事細かに調べ上げ、自分なりの解釈を通して設計プランを組み立てたようです。
思案の末、祖父は長年ストックしていた材料を出すことにしました。
長年ストックしていたとは「ここぞという時のため」に大切に保存していたもの。
祖父にとっては我が子、宝物と同じです。
ですが惜しいと言うことはなく、中には10年以上も手元に置いたものもありました。
▲当時は内容が難しくて何も分からなかった資料。今となっては当時を窺い知る事のできる唯一のものです。
「金閣寺工法」と名付けた従来の工法とは異なる工法を用いて、何百年も残るであろう茶室に、後世の人たちが目にしたとて恥じる事のない仕事をする。
これは常日頃から祖父・父・兄が口を揃えて言う信念でもあります。
文字通り命懸けで取り組んだ仕事。
一生のうちに一度でもこのような仕事をさせていただけたことを祖父は大変誇りに思っていたに違いありません。
しかし、これに満足することはなく亡くなる直前まで仕事をし生涯現役を貫き通しました。
平成から令和という時代になり、今私が祖父の仕事を窺い知ることができるのは詳細な資料などがあるからですが、大人になってから、親交のあった方から祖父の話を聞く機会が今でも多くあります。
もちろん私の知っている優しい祖父と棟梁である祖父の顔は違いますが、いつも信念を貫き通した人であることに違いはありません。
※金閣寺茶室、常足亭は通常非公開でございます。
《つづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!

先日、京都では珍しくしっかりと積雪するほどの雪が降りました。
雪国にお住まいの方には申し訳ないほどの積雪ですが、非日常の雪景色に興奮を隠しきれずにはいられません。
(わざわざ雪の積もったところを歩いたり、雪を丸めたりします!)
雪が降ったその日、たまたま出先でポッカリ時間が空いてしまい高揚のあまり、せっかくの雪景色なのだからと訪れたはこちら。
この景色!京都に雪が降ったら必ずニュースに出てくる、言わずもがなの鹿苑寺(金閣寺)。
京都在住の人が観光地である金閣寺に行く機会は多くありませんが、やはり圧巻の美しい景色です。
金閣寺と言えば黄金に輝く舎利殿があまりにも有名ですが、この金閣寺の敷地内に祖父が携わった茶室があります。
「金閣寺 平成の茶室」などともいわれる「常足亭(じょうそくてい)」という建物。
今思い出すと70代後半の祖父が生前最後に手掛けた大仕事だったような気がします。
もう既に20年近く前のことで、当時まだ中高生で離れて生活していた私には残念ながら興味のないことでしたし、朧げな記憶しかありません。
また大・大・大のおじいちゃん子だった私は祖父亡き後、約10年経った現在まで祖父関連の出版物や映像をあえて避けてきていました。
▲金閣寺の仕事をしていた同時期の祖父と祖母。私は15歳。
ですので、実は金閣寺へも意図的に足が向くことはなく、今回いわば「ノリ」で金閣寺を訪れたことで改めて「常足亭」は一体どんな仕事だったのかを知りたくなったのです。
勝手ですが、皆様にも少しだけご一緒にお付き合いただければ幸いです。
《次回へつづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!

京都に住んでいると当たり前のようになっていますが、京都は和菓子屋さんの件数が日本一だそうです。
しかも、どのお店も歴史と受け継がれる銘菓が存在します。
そんな京都でも老舗中の老舗、恐らく日本で一番有名な和菓子やさん!
「とらや」
御多分に漏れず小さい頃は暖簾の前で「や・ら・と」と読んでいました。
室町時代後期、京都で創業されたとらやさんは現在も京都御所のお隣にお店があります。
冠婚葬祭、贈答品、季節の行事にとらやさんのお菓子には絶大な信頼感があるのは、きっと私だけではないのではないでしょうか。
さて、京都の一条にあるお店には菓寮が併設されており、お庭を眺めながら美味しいお茶とお菓子をいただけます。
とらやさんが大好きな私にとって、お正月には初詣よりも外せない場所です。
一月の松の内には「花びら餅」。
花びらもちは宮中行事食の「菱葩(ひしはなびら)」を元に作られ、明治時代に裏千家のお家元が初釜でお使いになられたのがきっかけで全国で親しまれるようになったそうです。
お餅の中には蜜炊きされた甘いゴボウと塩味の味噌という不思議な組み合わせですが、見た目もさることながら完成された控えめな美味しさは、なんとも京都らしい雅なお菓子。
残念ながらこちらの花びら餅は期間限定ですので、次に口にできるのはまた来年となります。
ですがもう一つ、個人的に声を大にしてオススメしたい!とらやさんの銘菓がこちら。
「虎屋饅頭」
「べっぴんさん」な見た目の虎屋饅頭は蒸すことでふんわりと広がる甘い酒の風味にふわふわしっとりの生地と餡子がたまらない酒饅頭。
シンプルなだけに誤魔化しのない真っ直ぐな美味しさは心までほっこりとさせてくれます。
私のこの説明で美味しさの魅力をお伝えできるかわかりませんが・・・
とにかくおかわり5つくらい食べたくなる美味しさなのです。
毎年、お正月に家族で新年のご挨拶に伺う先で必ずいただいていたこの虎屋饅頭。
一段と冷えるお正月に、蒸したてで湯気の立つふんわりふかふかの虎屋饅頭とお薄。
なんて幸せなんだろう!と子供ながらに思い、大人になっても一年に一度の楽しみでした。
なかなかご挨拶に伺えないご時世となってしまいましたが、今年はとらやさんでいただくことができて幸せなひとときとなりました。
お茶の文化とともにお菓子も様々、特に京都は一年を通してお菓子で季節を感じることも多くお菓子屋さんを巡るのも楽しいかもしれませんね。
また、季節のお菓子をご紹介できればと思います。
《つづく》
========================================
それでは、また明日。
-------------------------------------------
【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
-------------------------------------------
- 関連記事
-












