毎日更新!SOU・SOU読本
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!

皆さま、こんにちは。
一年の後半はハローウィン、クリスマス、年末と怒涛のような季節行事が続き、新年が明けってあっ!という間に半月が経ちました。
月日が経つのは早いものです。
色々な行事がありますが、私は最も日本的なことを実感できるお正月が大好きです。
地域や家によってもお祝いの仕方が違うのも楽しいですね。
▲「隋處作主(ずいしょにしゅとなる)」正眼寺宗玄老大師讃
今年も家族と静かに迎えたお正月。
親戚が集まったり、来客がなくともお正月の室礼はなんとも言えない厳かな空気と清々しさを感じます。
我が家の玄関には勇しい寅の色紙が登場しました。
12年に1度しか登場しないのが少しもったいないような気もします。
色々なことが制約されていた日々の中で、茶道の世界でも「2年ぶり」に新春をお祝いするお家元の初釜が行われたと言うニュースを目にいたしました。
色々と工夫された初釜は2年前とは少し様子が違うようですが、その「心」は変わらずに続けられていることに大変感銘を受けました。
私も日々のお稽古で学び、また季節を五感で感じてお茶を愉しむ。
そんな一年になればと思います。
2022年が皆さまにとって恙無く健やかな日々になりますようお祈り申し上げます。
今年ものんびり『ひとりごと』のような、あんな話やこんな話にお付き合いいただけましたら幸いです。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
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【番外編】
お茶をはじめて知ったことがお道具を愉しむこと。
美術館などに行くと、「利休作」「光悦作」などと書かれた道具が並んでいます。
「自分で作っちゃうのか!」
っと思わず思ってしまいましたが、茶人たちは茶杓や茶碗などを自作することで芸術性や個性を演出していたようです。
そんなふうに道具を自作してアッ!と驚かせてくれたのが、私の義姉。
建築家でもありデザイナーの義姉は長年、カーボンファイバーと言う日本で生まれた新素材を使用して家具などをデザインしています。
カーボンって・・・よくわからないけれど、宇宙開発とかレーシングカーとかのパーツに使われている。
私はそんな程度の知識しか持ち合わせていませんが、いかにも現代的であることは言うまでもありません。
そんなカーボンを使ってデザインした、炉縁(炉の周りの枠)と茶杓。
漆黒の表面は市松模様のようになっており、どことなく私たちに馴染みのある雰囲気ですが、素材はカーボン!茶室では見たこともない異素材です。
▲茶杓の銘は「濡烏(corbeau moillé)」
最先端素材なので、さぞ自動化された工程を経て制作されたのかと思いきや、制作秘話をよくよく聞いてみると、曲線や折り曲げた面の細かいディティールを表現させるためには最終的には職人さんの技術が必要だそうです。
「最先端なのに手で作るの!?どうやってできるの!?」
そんな道具を通しての会話も楽しいものです。
もしかすると、過去の茶人たちも自慢の道具についてあれやこれや会話していたかもしれませんね。
▲折り曲げた部分の模様が自然で均一になるようにするのが職人技の光る箇所
現代的でありながらも最終的に人の手によって作られる、そんなところがこの炉縁や茶杓が持つエピソードであり歴史になるのだと思います。
いかにも伝統が重んじられている印象の茶湯の中にも、新しい自由な表現があることがとても楽しいです。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
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【番外編】
朝夕の冷え込みも一段と冬の気配を感じさせるようになりました。
街中はハロウィンからクリスマスへと急に年の瀬感を迫り立ててきます。
でも、その前にちょっと待ってー!!
っと思わず言いたくなる行事があります。
先週の11月11日は「亥の子の日」でした。
あまり馴染みのないお祝いごとかもしれませんが、お茶の世界では「炉開き(ろびらき)」を行う大切な日です。
夏の間は少しでもお客様に涼しく過ごしていただくように、火を遠ざけ小ぶりな釜を使ってお点前をしますが、段々と寒さが深まる季節には囲炉裏である「炉(ろ)」を開けて大きな炭を使い釜に湯を沸かして暖をとります。
そして、初夏頃に摘み取られた新茶が入った壺を開封し、茶を挽いて皆でその年の新茶を祝いいただく「口切りの茶事」が行われます。
季節を改め新茶をいただく、お茶の世界ではとても大切な行事であり「茶人の正月」とも言われています。
おっ、炉開きと言うことは「亥の子餅」を食べる日だ!
▲今年いただいた亥の子餅は亀屋良長謹製
と、日本の古き良き習慣を自身の食い意地で記憶してしまっていますが、なぜ「亥」なのでしょうか?
調べてみると、陰陽五行説で「亥」は水性に当たり、火災を逃れるという信仰があるそうです。
昔は木造の建物が多く、何よりも火災が恐れられていました。
そのため、亥の月の亥の日に、炉(囲炉裏)を開くと火事にならないとされたそうです。
今日ではこの日に炬燵や暖房器具を出すと良いそうですよ。
また、小豆や胡麻などの穀物を使った餅を食べ無病息災を願い、子沢山の亥にあやかり子孫繁栄の想いも込められています。
毎年深い意味まで知らずに、こう言うものか・・・と思っていた季節の行事も、調べてみると理に叶うことに驚きます。
なにはともあれ、また季節が巡り気持ちも新たにお稽古に励みたいと思います。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
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【番外編】
もしも、マイホームを建てるならきっと内装にもこだわりますよね。
インテリアや壁紙・・・夢は膨らみます!
一見どれも似たような印象の茶室ですが、茶室もちょっとしたこだわりを光らせることができるところがあります!!
「京唐紙(きょうからかみ)」という紙。
「唐」と付くぐらいですから中国渡来の紙で1300年ほど前に日本に伝わったと言われています。
美しい文様を施した唐紙は貴族たちの和歌や写経をしたためるための紙として使用されていましたが、後に寝殿造りの住居や寺院、茶室の襖や壁、屏風などに使われるようになりました。
我が家の茶室も広間の襖には笹の葉がモチーフになっている唐紙が使われています。
唐紙の文様は木版で刷られており、キラキラとしたパールがかった光沢は「雲母(きら)」という鉱物を混ぜた絵具(えぐ)を使用しいるためだそう。
唐紙の柄は植物がモチーフになっていたり幾何学模様のようなものなど伝統的でありながらモダンで洗練された柄ばかり。
公家好み、寺社好み、茶方好みなど、文様によってそれぞれの系統があるようですが、どれもこれも現代に通づるデザインです。
たくさんある柄の中から、用途や好みによって選ばれる襖の唐紙。
想像しただけで楽しいですよね!
私の手元にある唐紙は、サンプルを見ているだけでも見飽きない!という状況を見かねた父が、とある表具屋さんからいただいてきた切れ端。
切れ端ではありますが、一枚一枚職人さんが手で擦った唐紙、決して無駄にはできません。
今では襖だけにとどまらず、壁紙やランプシェードなど私たちの身近なシーンでインテリアとしても使用されています。
何百年も昔からある文様が「デザイン」として成立し、今見ても色褪せず洗練されているのはその時代の芸術性の高さなのでしょうか。
いつか、SOU・SOUのテキスタイルも文様として唐紙になったりしたら楽しいな・・・。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
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【番外編】
私だけかもしれませんが、家の間取りなどを見るときに〇平米と言われるよりも、〇畳と言われる方が凡その大きさを想像しやすいです。
正確に畳の大きさを把握していなくても、なんとなく畳一畳の大きさが身体に馴染んでいるような気がします。
しかし、もしかすると日本人の中でもその大きさの感覚に違いがあるかもしれません。
「京間(きょうま)」と「江戸間(えどま)」
と言うものをご存知でしょうか。
実は関西と関東では畳の大きさが違うのです。
うどんの出汁じゃあるまいし!
と思うところですが、地味に違う畳の大きさ。
その地味な大きさの違いも、実は単純なことでもなさそうです。
京間の畳の大きさ 6尺3寸(約190㎝)
江戸間の畳の大きさ 5尺8寸(約175㎝)
京都では建物を建てる際に畳の大きさを基準にし、畳の外側で柱の位置を決めるのに対し、江戸の大工さんは柱の中心から柱の中心までの距離を基準としたため、江戸の畳の大きさが小さくなるのです。
さて、茶室は基本的に「京間」ということになります。
私がお稽古に行っている流派では「半畳3歩」つまり一畳を6歩で歩きましょうと教えられます。
また、お点前の際にも先生は「お道具は3目離して置きましょう」とか「お隣は5目離しましょう」とか、畳の「目」を目安にお道具の置き場所や座る位置を教えてくださいます。
したがって、畳の大きさや畳の目の数はお稽古を進める上で大切な「ガイド」の役割を果たしています。
最初のうちは足を運ぶ際にも心の中で「いち、にい、さん、いち、にい、さん」と数えながら足を運んでいたのですが、近頃ようやく身体に馴染んできた足の運び。
(そうは言っても、歩数が余ったり縺れたりすることはしょっちゅうあります!)
もしも畳の大きさが違えば私のような若輩者は混乱するに違いありません。
当然のように敷き詰められている畳ですが茶室の畳は実は計算され尽くした配置。
極端なことを言えば、障子や柱がなくとも畳さえきちんと配されていればそこは立派な茶室になるような気がします。
畳って奥が深いなぁ!
《つづく》
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それでは、また明日。
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「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
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SOU・SOUのスタッフ同士の会話でお茶のお稽古の話題になることがしばしばあります。
「こんなお道具で、あんなお点前で、とにかく正座が辛すぎる」
内容は概ねこんな感じです。
「とにかく正座が辛すぎる。」
正座はお茶のお稽古の試練とも言うべき避けられない現実。
幸い私は正座が苦にならないラッキーな体質なのですが、人によっては慣れたり慣れなかったりするようです。
「畳」は茶室に限らず、日本の建築とは切り離せません。
SOU・SOUの茶室ももちろん畳です。
家に畳の部屋がなくともやっぱり畳の部屋は落ち着く!なんて人も多いと思います。
身近でありながら需要が減り続けている畳。
SOU・SOU茶室の畳は京都にある高室畳工業所に依頼して納めていただきました。
「ピンからキリまで」という言葉がありますが、畳にもピンとキリがあるようです。
もはや日本産ではない畳まである中、日本で最高級と言われる畳は「中継ぎ(なかつぎ)畳」と言われるもの。
通常は一本の藺草(いぐさ)を根本から穂先まで使うものを、あえて中間のいい部分だけを切って継なげて編み込む。
そのため畳の中央には薄ら継いだ部分が線になって見えます。
また、畳の縁(ヘリ)は麻を本藍染めで染めたものを反物にし、縁のためだけに使用されるそう。
ちなみに中継畳は、京都迎賓館や表千家不審庵でも使用されているそうです。
父曰く足あたりが全く違うとのこと。
▲SOU・SOU茶室の畳の縁も麻の本藍染め
日本で極僅か、とびきり希少なこの技術をお持ちの高室さん。
コストが安い畳に圧されて「中継ぎ畳」の技術が継承されていかなくなることは残念なことです。
なかなか中継畳はお目にかかれる機会がありませんが、SOU・SOU茶室の畳も正真正銘、昔から日本にある藁床の畳。
しっかりとした弾力で、耐久性にも優れています。
足の痺れを見守るのは伝統的な技術を守る職人さんの叱咤激励なのかもしれませんね。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【番外編】
SOU・SOUでお菓子と言えば「和菓子になったテキスタイルデザイン」ディレクター、企画室の橋本。
SOU・SOUでは毎週、橋本がセレクトした全国津々浦々の銘菓をお抹茶と共にスタッフみんなでいただきます。
伝統的な銘菓からアッと驚く銘菓まで毎週、口福なひと時を味わい、これは!と思うお菓子は栞を持ち帰ることも多々あります。
お茶には欠かせないお菓子。
本日はお菓子にまつわるお気に入りの一冊をご紹介します。
「菓子珊珊(かしさんさん) 茶人が選ぶお菓子と器」
郷土のお菓子をどのような器と取り合わせるかを主題に、茶道の機関紙に連載されていたものをまとめられた一冊。
まず驚くことは、季節ごとの日本全国の郷土のお菓子のバリエーションは圧巻です。
中には手作りのものもあります。
そして器は茶道具でないといけないのかと思っていたのですが、由緒正しい塗りの器から世界中の民芸品や貝など異国情緒漂うものまで、実に様々。
あ、このお菓子は旅のお土産にいただいたことがあるな、これは祖父の好物だったな・・・
などと頁をめくるごとにワクワクする、まさしく銘菓の旅へ出られる一冊です。
全国各地の数ある銘菓、いつか皆さんのお住まいの地域の銘菓にも出会える日が来ますように。
《つづく》
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それでは、また明日。
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「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
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さて本日はSOU・SOU茶室のこと。
茶室には「水屋」というお点前の準備をするお勝手のような場所があります。
紆余曲折、限られたスペースでなんとか水屋スペースを確保したところで唯一、若林の要望があったのです。
「水屋でお湯が出て欲しい」
水屋について無知な私は帰宅後、その要望をそのまま父に伝えました。
「若林さんが水屋でお湯が出て欲しいって言うてはるねんけど。」
設備的には不可能ではないだろうと想像していた私。
しかし、父は真面目な顔で私に淡々と説明し始めました。
水屋では、お点前の準備としてお茶碗などの大切な道具を扱います。
今の時代でこそ水屋に水道の蛇口がついている場合がありますが、基本的には水瓶に水を張り柄杓を使って支度をします。
蛇口が付くことによって万が一、大切な道具をぶつけてしまったりしては一大事なので本来は金属的なものがない方が好ましい。
しかもSOU・SOU茶室は室内の中で、別の場所に水道もあるので蛇口は必要ないのではないか・・・お湯が出ることで傷みの原因にもなるよ。
諸々の話を聞いたのち、父から「もう一度、若林さんに伝えてみなさい」と言われ、翌日重い足取りで若林のもとへ出向き、お湯は不要なのではないかと・・・説明を終える前に若林から出てきた言葉は
「お湯が出たらアカン理由にはならへんな」
「いや・・・それはそうなんですけどー」
と私の返事は先細っていき返す言葉もなくなってしまい,
父もそこまで言うなら混合栓(お湯も出る蛇口)を探そう!と言うことにおさまりました。
その時のメモを見返すと、私の自信なさげな字で
「(お湯が出るのが)アカンわけではない」
と小さく書いてありました。
こういう時には父と若林が直接やり取りすればいいじゃないのかと何度も思ったのですが、ほとんどのやり取りで私を間に入れてくださったおかげで、私には大きな学びがあったこととも事実です。
ちなみに若林の「お湯」への想いは、自らのお稽古場の水屋の水が冷たすぎるという理由らしいです。
たかがお湯、されどお湯。
今でこそ笑い話ですが、SOU・SOU茶室の水屋の蛇口を見るたびに思い出しています。
《つづく》
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それでは、また明日。
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SOU・SOUに入社してからお茶のお稽古をはじめたので、この秋で5年目になりました。
色々なことを覚えては忘れ、たまに休憩(サボりです・・・)したりして、優しい先生の元でのんびり続けています。
正直なことを言えば、逃れられない状況となりはじめたお茶のお稽古。
はじめのうちは格段に楽しいとも思えず、かと言ってつまらないのかと言えばそうでもない。
一度聞いただけで理解が深まることもなく、わかりやすい成果はほぼ無いのです。
ですので、未だに大きな声で「お茶を嗜んでおります」と言うのはなんともおこがましい気持ちになるのですが、止むに止まれず「お茶を少々・・・」と奥ゆかしげに言ってみるも、中身が伴っておらずとても申し訳ないやら切ない気持ちになります。
とにかく言葉にできない不思議な感覚がいっぱいのお茶の世界。
そんな話を、かつて近所に住んでいた漆芸家の室瀬和美先生にお話ししたことがあります。
いつも穏やかなお人柄で、漆の話やお茶の話などお話ししてくださるのですが、
室瀬先生は私がSOU・SOUに入社してお茶のお稽古をはじめたことをとても喜んでくださり、こんなことをお話ししてくださいました。
「お茶はね、もちろん基礎も大切だけれど決して動きが大切なわけではない。
お茶の中で出会う人、道具、空間、時間、それがとても大切でね、その全てを創り出しているのが君のお父さんなんだよ。」
その時は、ふむふむと思いながら聞いていたと思うのですが、なぜだかその言葉だけきちんとメモに書き留めてあったのです。
先日そのメモをたまたま見つけ、今改めてなるほど・・・とほんの少し腑に落ちる感覚があります。
月並みな言葉で「深いなー」なんて、わかった気になってしまうことも少し違うとも思います。
お稽古を続ける限り、一生分からなくてもいいのかもしれません。
わからないなりにもお稽古はこれからも気長に楽しもうかと思います。
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それでは、また明日。
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忘れもしない、二十歳の冬の日のことです。
東京の現場で仕事をしていた父の元を、学校帰りに訪ねては父の仕事を眺めていることが度々ありました。
いつものように現場を行くと、その日は京都から表具師さんがやってきて黙々と作業をしていました。
「表具師(ひょうぐし)」というのを認識したのはこの時かもしれません。
表具師は掛け軸や屏風、茶室であれば障子や襖などの「紙」の部分を担う茶道や数奇屋建築とは切り離せない職人さんです。
和室が少ないと言えど、まだまだ日本全国にいるであろう表具師。
なぜ東京の現場にわざわざ京都から職人が来ていたかというと、その答えは茶室の表具にあります。
もし、ご自宅に障子がある方はぜひ見比べてみてください。
何が違うかお気づきですか?
茶室の障子には障子の真ん中にところどころ線が入っています。
これは「継張(つぎばり)」(「石垣張り」とも言います)という手法。
あえて紙と紙をつなぎ合わせています。
今は障子紙といえば建具に合わせた大きな紙がすぐ手に入ります。
ですが、昔は手で漉いた紙がとても貴重な物で、障子に使用する紙を少しも無駄にしないため継張りになったそうです。
後付けかもしれませんが、継いである部分が美しい陰影となりデザインとして成立しているようにも思えます。
この貼り方も流派によって少し違いがあるのですが、SOU・SOU茶室は継張りの意味合いも考えて、より合理的で紙を無駄にしないように表千家の貼り方になっています。
さて、話は戻り表具師の職人さんに出会ったときのこと。
私はこの時に初めて継張りの障子を知りました。
「お嬢ちゃん、お家の障子見てみぃなぁ、全部ちゃんと継張りしてあるさかいにー。」
なんと!自分の家の20年目の真実!
お恥ずかしい話、いかにぼーっと生活していたのかがわかる衝撃的な出来事でした。
サーッと紙を断つ音、僅かな幅に紙を継ぐ時には思わずこちらの息がグッと止まるほど。
無駄のない職人の手元は見飽きない動の美しさがあるものです。
そして、ただ紙を張るだけはありません。
湿気や乾燥などの影響を受けやすい和紙、あまり強く張りすぎても弱く張りすぎてもいけない。
そして紙によって「張り」の具合が変わるため、糊が乾いた状態を想定しながら調整して張っているとのこと。
上等な紙ほど扱いがややこしいそうです。
これが職人技か!と、えらく感動して表具屋さんが来る日はいそいそと現場に同行していました。
その時に出会った職人さんに、SOU・SOU茶室の障子もお願いしました。
障子紙はSOU・SOUともご縁のある京都の静好堂中島さんから。
ちなみにSOU・SOU茶室の障子紙は京都迎賓館と同じ障子紙を使用しています。
それを知ってから、万が一のことがあったら怖いので障子には近寄らないようにしています・・・。
《つづく》
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それでは、また明日。
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手前味噌ではありますが、未だにスゴイなー!と思うことは若林が初対面の父に対して茶室を依頼する際「好きにしてもらったらいいので、お任せします。」と言ったこと。
美容院に行って「お任せで」と言いつつも、つい要望を言ってしまうであろうに、お任せと言い切ってしまうところが凡人(私)には理解できないです・・・。
とは言いつつも、広大な土地に「さぁどうぞ!」というわけではなく、スペース的にはかなり限られたSOU・SOU茶室。
特に床の高さには相当、頭を悩ませたようです。
以前にもお話したように、茶室として使用するにはお釜をかける「炉(ろ)」が必要。
ご覧のように、床より低い位置にすっぽり釜が入るだけの深さがあります。
▲釜の下には灰と炭、五徳があります。灰や炭の扱いにもお点前があるので、炉は必須という結論になりました。(自宅の茶室にて)
SOU・SOU茶室は建物の中なので、床下にも天井にも余分な空間がありません。
当然、炉の分の床をあげることになるのですが、茶室全体の床を上げると今度は入り口部分の床の高さが問題になります。
茶道では度々お辞儀をする場面があります。
もちろん一つ一つのお辞儀に意味があり、それもまた欠かせないものであるのです。
お茶のお稽古で一番最初に習うことは、お点前ではなくご挨拶(お辞儀)の仕方かもしれません。
お辞儀は相手や場に対する敬意でもあり、これからの進行を知らせる合図でもあります。
ですので、床が上がった分を階段のように一段上がって出入りするというわけにはいきません。
かと言ってその分、茶室の外に床を広げるわけにもいかず・・・考えられたのがこちら。
一見、床が上げられただけのように見えますが、
引き出してみると木の板が出現します。
さらに組み立てると簡単に床に早変わり。
1人が正座して座れ、側にお道具も置けるだけの小さな床が出現。
ちなみに床の下は少しだけ物を収納できるようになっています。
少しわかりづらいですが、実際に使用した様子がこちら。
3月に放送されたケンメイラジオでのひとコマ。
畳に踏み出す最初の一歩、移動の歩数さえもきちんと決まりのあるお茶では襖を開ける前が意外と大切。
茶室に入る前に一旦、心を落ち着けて最初の一歩を踏み出します。
ちょっとしたことなのかもしれませんが「使える茶室」にするためは必要不可欠な仕組みでした。
逆に考えると、どんな環境でも工夫次第で茶室にできるということでもありますね。
《つづく》
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それでは、また明日。
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もうすぐ9月9日、重陽の節句です。
重陽の節句、あまり馴染みのない方もおられるのではないでしょうか。
【重陽の節句について豆知識】
この世のものは全て「陰」と「陽」で成り立っており、数字の奇数は「陽」を表しており縁起がいい数字だと考えられました。
中でも「9」は「陽」の気が最も極まった数字とされています。
つまり9月9日は「陽」の数字が2個「重」なった日で「重陽」となり、最も縁起が良くおめでたい日なのです。
数学的意味合いではなく文化的意味合いにおいても、「数」の考え方は様々ですね。
本日はそんな「数」に関するお話です。
前述の話にも「奇数」と言う言葉が登場しましたが、茶室にもきっちり奇数の場所があります。
それはこちら・・・
連子窓(れんじまど)の竹の数。
SOU・SOU茶室は全部で13本。
窓の大きさによって奇数になったり偶数になったりするのではないかと思いきや、これには奇数の理由があります。
茶室の歴史では電気がなかった時代の方がはるかに長いですね。
そんな時代の先人たちは、陰影の中の世界に美しさを感じたことだと思います。
障子紙を透けて時を刻む光、薄暗い中で蝋燭の火に揺れる光。
「陰」と「陽」まさに谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」の世界。
そしてこの「影」を通してみたときに竹の格子が偶数では中心がなくなり、なんともバランスが悪い。
ここは奇数で中心を定め左右平等にするのが美しいとのことから奇数なのだそう。
ちなみに数は関係ありませんが、竹の節も同じ位置に横なら見にならないよう全てずらしてあります。
残念ながらSOU・SOU茶室は室内にあるため外光の影響を受けにくく、影にはなりづらいのですが奇数できちんと施工されています。
こちらは我が家の茶室の下地窓から。
どの時間帯も良いのですが、個人的には早朝の静けさの陰が美しく感じます。
「まあどう云う工合になるか、試しに電燈を消してみることだ」
(谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」より)
《つづく》
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それでは、また明日。
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SOU・SOU茶室の天井は、あれやこれや実はこだわりがギッシリ詰まっています。
何気ないことですが普通の天井と違うところ、お分かりでしょうか。
普通、天井は平で均一ですよね。
ですが、SOU・SOU茶室の天井には傾斜が付いています。
これは「掛け込み天井(かけこみてんじょう)」というもので茶室の天井によく使われる手法です。
この傾斜があることで素朴な景色を生み出し、より空間の雰囲気を演出する効果があります。
実はSOU・SOUの茶室は室内にあるため、配線やダクトと言った物質的なものをうまく避けさせ、尚且つ天井を低くさせないためにもなくてはならないものでした。
また、天井の方向性をご覧ください。
一定間隔に並んでいる竿縁(さおぶち)と言われる竹が床の間に向かって平行に配されています。
床の間に向かって直角に竿縁が向くことを「挿し床(さしどこ)」と言い、茶室の中で最も格の高い床の間に向かって竿縁が向くことが無礼とされ、また武士の時代には「挿(刺)す」と言うことを忌み嫌うような意味合いもあったそうです。
これは天井のみではなく、畳も同じで縁は床の間と平行に敷き並べられています。
父の話を聞いていて、なるほどなー!と思うことは多々ありますが、堅苦しく感じる決まりにも実は合理的な理由があったり、その反対に理由がありそうだけれど実は自由なこともたくさんあり、一括りに茶室と言っても棟梁の知識やセンスによって仕上がりが全く違うものになるのだということを感じます。
それぞれの意味を知れば、もっと親しみの持てる空間になるかも知れません。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
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茶室は「見どころ」がいくつかあります。
僭越ながら、私はSOU・SOU茶室をつくった棟梁の娘として「見せどころ」と言わせていただきます。
お茶を嗜む者にとって、茶室は神聖な空間です。
その中で更に特別なスペースが床の間。
最近は床の間がある住宅もめっきり少なくなりましたが、小さい頃に床の間に上がったら怒られた・・・なんて経験がある方もおられると思います。(おてんばだった私もよく怒られていました!)
それがなぜかという床の間の起源は割愛しますが、とにかく茶室の中で一番「格の高い場所」それが床の間なのです。
そして、SOU・SOU茶室の見せどころが床の間の柱、「床柱(とこばしら)」です。
床柱で茶室空間全体の調和が決まってしまう、言わば影の主役。
ですので、普通の柱とは違い少し上等なこだわりの材が使われることが多いのです。
SOU・SOU茶室の床柱は「槐」の木が使用されています。
木偏に鬼と書いて「えんじゅ」と読みます。
槐は元々は中国原産の木で、出世や長寿、尊貴などとても縁起の良い木とされてきました。
そこで父はSOU・SOUがこれからも末長く繁栄するように、とこの槐の木を床柱に据えることにしたようです。
ボコボコと一定にはつられた加工は「名栗(なぐり)」と言われる日本に古来から伝わる加工。
(スタッフ西永の新居の廊下も名栗加工!贅沢!)
そしてちょうど花を掛ける目線の位置に白い部分があります。
「白太(しらた)」と言われる部分で、木の表面に近い新しい部分。
この白太があることが更に決めてになったようです。
白太の景色あってのこの床柱。
もはや素人にはわからない、大工の審美眼のようなものでしょう。
この白太をいかに美しく魅せるため柱の加工にもこだわったようです。
白太は木の表面に近い新しい成長過程の部分で立派な幹を加工した柱に少しだけ現れた新しい部分。
SOU・SOU茶室で伝統的な空間に清々しい景色を生み出したのではないかと思います。
ちょっと考えすぎかもしれませんが伝統の中の新しさ、SOU・SOUそのもののような気がします。
《つづく》
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それでは、また明日。
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先週は天井の「へぎ板」が色々な意味で「クセモノ」であった話をいたしました。
今回はこの写真にも写っているもう一つの「クセモノ」のお話です。
それは「煤竹(すすだけ)」。
天井に一定間隔で配されている竹は竿縁(さおぶち)と言われるもので注目していただきたいのは、この飴色に輝く竹です。
煤竹は字のごとく、煤で燻された竹のことですが、人工的に燻されたのではなく、茅葺きの古民家の天井や屋根裏で百年、二百年と燻されたもの。
元々は真っ黒だそうですが、きれいに磨くと飴色になるそう。
古民家も減少してるため数も少なく大変貴重なものになっています。
祖父も父も、仕事で使用する材料は必要な時に調達するのではなく「物がある時」に調達しています。
職人の高齢化、需要がなくなって生産されなくなったもの、昔はたくさんあったものがある日突然、手に入らなくなることは残念なことに良くあることなのです。
ですので、目の前にある時に手に入れると言うのが、父にとっては当たり前のこと。
そんなことで、父の煤竹ストックの中から、SOU・SOU茶室に必要なものを選りすぐりました。
自然のものなので、太さや色、節の形状など同じものはありません。
その中で並べた時に自然になるよう何百本とある煤竹の中から選別します。
そういえば、私のお稽古に通っているお茶の流派ではお茶を点てる際の茶筅(ちゃせん)は煤竹のものを使用します。
先生はお稽古の際にも煤竹の茶筅を使用させてくださるのですが、実はとてもとても高価なもの。
「なかなか以前と同じ価格では手に入らないのよ」と仰られていたことを思い出しました。
昔はありふれていたものが色々なところで「レア」なものになっているようです。
今は当たり前にあるものも大切にしたいですね。
《つづく》
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それでは、また明日。
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SOU・SOUの「そう」は「そう、そう」という相槌の「そう」
クリエイティブの「創」
装いの「装」
住まいの「荘」
かんたんの「草(そう)」
「かんたんの草(そう)」とは、日本文化の中で生まれた美意識を表現する「真(しん)・行(ぎょう)・草(そう)」の「草」のこと。
茶室はこの「草」の部類に入る建物なのです。
例えば、きらびやかな装飾が施された書院造りの建物が「真」であるとするならば茶室は素朴で簡素。
その詫びた世界の中に美を追求するものなのだと思います。
さてそんな「草」の空間、SOU・SOU茶室の天井を見上げてみます。
少し荒っぽい板が貼られていますが、これも実は茶室が「草」であることを示しています。
気持ちを少しだけ千利休の生きた戦国時代にタイムスリップしてみましょう。
喧騒からは離れた素朴な空間。
「草」の庵。
見た目に分かる華美なものはありません。
木・土・紙・竹どれも日本人の生活の中で身近なものをありのまま使うことを「美」としました。
今の時代なら、つやつやピカピカの板を天井に貼ることは容易ことですが、それでは全体的な「草」の空間のバランスが崩れてしまいます。
ですので、この「へぎ板」という板が貼られます。
「へぎ板」は杉の板を熟練の職人さんが薄くへつらった板。
一見、なんのこともない板にも見えますが実はこれが現在では「超」が付くほどの貴重品。
職人の手仕事でしか生み出せない「へぎ板」を扱える職人さんがおらず、へぎ板を求めて大工が血眼になって探すそう。
そのため祖父の時代から比べると2倍、3倍と価格は高騰。
ピカピカの板ならば機械で簡単にできるものを、今や「草」であるはずのへぎ板の方が高級品とはなんとも皮肉なことです。
さらに、へぎ板の中でも奈良県の「吉野杉」のへぎ板は扱いが非常に難しく特に貴重なものになっているそうです。
SOU・SOUの茶室にも無事に仕上げられた「吉野杉のへぎ板」。
板を入手するだけでも困難を強いられた天井、実はそれだけではありません。
写真をご覧いただけるとお分かりいただけるよう、室内に建てているSOU・SOUの茶室は既存の天井と茶室の天井との間がごく僅かしかなく、天井がカッツカツの状態。
同じ広さの天井なら2〜3日で終えられるものが、釘を打つスペースの余裕がなく1週間程度かったほど。
父曰く
「床より天井の方が上等や、絶対に濡らしたらアカンで!」
と言うことで、手垢が付くのも怖くて決して触れるまいと心に誓いました。
《つづく》
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それでは、また明日。
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「そこでお扇子を持ってにじり入るのよ」
「ニジリハイルってどういうこと?」
初めてのお茶のお稽古での出来事。
大人になっても分からない動作があるんだ!と、驚きと同時に戸惑った記憶です。
にじり入るとは・・・
正座しながら手をついてそのまま体を進める動き。
これは簡単そうに見えて意外とスイスイ進まない、修行の身には思わずよっこらしょ!と言葉が出てきそう動作です。
さて「にじり入る」という動作もそうですが、茶室には「躙口(にじりぐち)」という出入口があります。
「ニジリ」と言う学校では教えてくれない言葉。
そうです、コビトの入り口か?はたまた忍者屋敷のからくり扉かと思うほど不自然に小さい入り口。
「おもてなし」を礎とする茶道の世界で、お客様をわざわざ小さい戸から出入りさせるなんてちょっとトンチンカンなように思いますが、理由なしに何百年も受け継がれるはずもありません。
茶道の祖、千利休の生きた時代は戦国時代真っ只中。身分の階級が強い時代でした。
ですが、茶室の中では全ての人が平等で、どんなに身分の高い人でも刀を外して頭を下げて入らなければならない。
そんな時代の価値観を覆すものでした。
そのため、その昔は茶室には刀掛があったそうです。
なるほどなーと感心しながら、当時の千利休と秀吉の関係性を想像せずにはいられませんね。
さて、現代は刀を持った物騒な人もお殿様もおりませんので本当は別に身を小さくにじり入る必要はありません。
その代わり戦国時代よりも人類が少しだけ進化して日本人も全体的に大柄になりましたし、外国の方もお茶を楽しむことが多くなりました。
ですので父は場所や使われる人を想定し、場合によっては少しだけ躙口を大きく設計することもあります。
SOU・SOUの茶室にもちゃんと躙口がございます!
にじり入ることもできますよ。
躙口があることで、和室からぐっと茶室の雰囲気になります。
躙口の向こうに続く狭くとも無限な世界を持つ茶室、今も躙口が残っていると言うことは「茶室の中では皆平等」と利休が想う精神が受け継がれていると言うことですね。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
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本日も京都芸術大学空間演出デザイン学科の学生よりお知らせです。
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SOU・SOUのブログをご覧の皆様、こんにちは!
京都芸術大学 空間演出デザイン学科3年生です。
7月16日(金)より公開しております「SOU•SOU×京都芸術大学」のwebショップ(~7月23日13:30まで)。
本日は、貫頭衣の柄について紹介します。
今年は、廃業された染屋さんからいただいた京友禅の型紙を使って制作した貫頭衣が多いです。
今年は、『風』『水』『光』と自然をテーマに、この地球にある美しさの源からFashionに脈動することができ、制作している間も、nationalなものを感じて本当の大切なものは何か、常に存在するシンプルなものに出会い、それを形にするということで複雑性を見出だし、コンセプトを考えたりと、幅広いテーマ故にいろんな人色の個性が現れたなと感じました。
今回みんなと制作できて嬉しく思います
ものづくりは地球、命、この世に存在する全てのものとの対話であり、貫頭衣という弥生時代に存在していたものを現代においても新しく誕生させることができて、この時代色々あるけれど、昔のものを今生み出すことに美しさを感じます。動物達は大昔からずっと変わらずに自然と向き合っていて、人も、昔は今よりも自然と向き合っていたと
人間だからこそある意識をつかって変化を感じとり、タイムスリップをしたアイデアをもとに歴史を遡って現代に反映させたアイテムです。
時間にフォーカスしたとき、いろんな魔法が発生するなと思いました。
このご時世なので、対面での接客販売はできないですが、文字や動画で少しでも想いが伝わり、つくった製品が皆様の手に届けば幸いです。
今年はwebショップのみでの販売になります。
店頭で実際に手に取っていただけないのが残念ですが、
Webショップでもお客様に魅力が伝えられるように頑張ります!
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そして、ここからは日曜日
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!
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土壁に触れるとザラッとした砂がパラパラと落ちた経験、ありませんか?
先週は土壁は丈夫だとお話ししたのですが、「丈夫」と「デリケート」は意味が少し違うということで今週の話にお付き合いください!
土壁はペンキの壁と違い、経年劣化したから塗り替え!というわけにはいきません。
もしも土壁にキズができてしまい、どうしても気になるから修理したい!となると全ての壁を一からやり直さなければならなくなります。
想像しただけでも、やたら大掛かりな工事です。
ですが茶室は実際に使用して機能している空間です。
どうしたものか・・・。
さて、前置きが長くなりましたが茶室の壁をご覧ください。
壁の下部に紺色の部分があります。
これは「腰張り(こしばり)」と言い、藍染の湊紙(みなとがみ)という少し厚めの和紙が貼られています。
デザインかと思いきや、そうではありません。
腰張りの目的は土壁の保護のため。
その名の通り、正座した時に腰から背中にかかる高さに紙が貼られています。
なぜその高さまでなのかというと、着物を着た女性を想像していただけるとお分かりいただけると思います。
帯が壁に当たり壁を傷つけないように。
お客様の大切なお召し物(帯)を傷つけないように。
そんな配慮から貼られているものなのです。
また、茶道では座る位置にも決まりがあり、畳と並行に縁から自分の座る位置の前に間隔開けて座るのが作法とされています。
ですのでお客様は座った位置から畳の前のスペースを開けるため、どうしても後ろへ(壁側)と下がろうとして壁に触れてしまうことがあるのです。
では反対の壁を見てみましょう。
今度は白い湊紙が貼られています。
そして紺色の腰張りと違って高さも低い。
こちらは、亭主(お茶を点てる側)が座る位置。
亭主は壁を背にお点前することがあまりないため、腰張りを高くする必要はありません。
それに自分の茶室、細心の注意を払って壁をズリズリすることなどないはずです。
では、どうして紺と白で使い分けているのか?
その答えは「境界線」とでも言いましょうか・・・
色が違うことによって茶室に足を入れた際に「お客様の動線」と「招く側の導線」が一目瞭然ですね。
知らない茶室に通されて、どこに座ったらいいのかわからない!なんて時は腰張りが目印になるかもしれません。
実用的な理由だけではありません。
紺と白、腰張りがあることメリハリがついて空間が引き締まります。
どこを切り取っても限りなく質素でシンプル、無駄がないことに気がつきます。
いかにも日本らしいと感じるのは私だけでしょうか。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
「WEB貫頭衣展(かんとういてん)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
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本日は日曜日、数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!
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「建物の保存は壁で決まる」
そんなことを私の祖父が言っていました。
土の壁というと脆そうにも感じますが実はそうではないということであると私は解釈しています。
今は住宅でも土壁は使われることが少なくなりましたが土壁は高温多湿の日本の風土に合った壁なのです。
皆さん、土壁の下ってどうなっているかご存知ですか?
▼正解はこちら▼
土壁の下地になるのはこのような竹(小舞竹と言います)をひとつひとつ手作業で編んで棕梠(しゅろ)の紐で結んだもの。
※棕梠(しゅろ)とはヤシの木に似た木で、その皮の繊維でできた紐は腐りにくく麻紐より丈夫だそうです。
その上に土を塗り重ねていきます。
SOU・SOUの茶室は室内ということもあり、一部だけ竹を編んだ下地の土壁となりました。
土壁を塗るのは左官職人さんですが、祖父も父も壁が大事だというだけのこともあり職人任せにはしません。
時には、材料の土やその他の素材すらも自らの目で選びこちらから左官屋さんに支給します。
また土壁は土100%ではなく、中には稲藁が配合されており、その土を何ヶ月も寝かせて発酵させ使用します。
発酵することで藁の繊維が細かくなり糊の役割を果たす他、強度や耐熱が増すそうです。
壁の下地を見ていて、なんだか馴染みのある光景だな〜と思っていたのですが、それもそのはず!
SOU・SOU傾衣の店内は全体が竹で編まれた土壁の下地!(デザインですが・・・)
川勝店長曰く「牢屋みたい」ということですが、これは牢屋ではなくれっきとした伝統的な建築工法です!(デザインですが・・・)
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
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現場に入り、着々と進むSOU・SOUの茶室工事。
基礎的な材料がすっぽりと収まったところで、同時進行で進められるのが左官(さかん)工事。
つまり壁の工事です。たかが壁、されど壁。
茶室の壁は粘土を壁に塗った土壁です。
一見、土壁なんてどれも同じだろうと思うところですが、この土壁が茶室の印象を決めると言っても過言ではありません。
部屋の壁紙を白にするか、オフホワイトにするか・・・はたまた違う白に?
この感覚と同じで、土壁の色の濃さで茶室の雰囲気はガラリと変わるのです。
今回、SOU・SOU茶室に提案した色見本は3色。
こう並ぶと違いは歴然ですが、工事の段階でこの色見本だけで理想の茶室に仕上げるのは至難の技のようにも思えます。
父がSOU・SOUの茶室にはこの色が良いだろうと思っていた色があるのですが、ここは施主である若林の好みを確認しなければいけないところ。
幸い?偶然?奇跡的に?その両者の色が一致しところで落ち着きました。
あとは左官職人さんにお任せするだけです。
余談ですが、茶室の壁は経年変化によって色が変化していきます。
それは「ただ古い」のではなく「詫び」としての付加価値となります。
そして古い茶室が醸し出す雰囲気は新しい茶室では表すことの出来ない「美」となります。
数奇屋大工はその何十年も先の変化を見越して茶室を造らないといけないのです。
我が家の茶室も段々と壁の色が変化し、昼間でも薄明かるくてなんとも言えない空気感です。
お茶人さんの中には茶室を建てても直ぐには人を招かず、何十年も壁の経年変化を待つ人がいるほど壁の色の変化を重要視するそうです。
新しくて良いものは世の中に沢山あってわかりやすいですが、古くて良いものを見極めるのには「眼」が必要なような気がします。
《つづく》
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それでは、また明日。
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