毎日更新!SOU・SOU読本
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!

学生時代、毎週のように遊びに行っていたお宅がありました。
元々は祖父の古くからの知人で、ご自宅でお茶のお稽古をされている先生でもあります。
当時、私はお茶のお稽古をしていなかったので、おしゃべりしながらお茶を飲んだり一緒に食事をするのが楽しみで厚かましくもお邪魔していました。
お台所でよく眺めていたのが、割烹着姿の先生がお菓子作りをしている光景。
いつもお鍋には小豆が炊かれ、優しい匂いが立ち込めていました。
そしてその横ではお砂糖と粉に紅を垂らして混ぜた色とりどりの粉を、蝶や桜の木型に摺り入れてコンコンと木枠を叩くと、型から可愛らしい干菓子がコロンコロンと出来上がる。
先生は、そうして季節ごとのお菓子を全て手作りしておられ、私はその横で出来立てのお菓子をつまみ食いをするのが楽しみでした。
前置きが長くなリました。
またまたお菓子の話ですが、お付き合いくださいませ。
京都の祇園に小さな美術館があります。
「ZENBI」
くずきりが有名な「鍵善良房」さんの美術館。
▲入館チケットも黒田辰秋の棗をオマージュしたもの
美術館からほど近いお店へ行くと、人間国宝・黒田辰秋の美しい漆の作品と一緒に干菓子の型が並んでいます。
くずきりと並んで名物なのが美しい季節の干菓子。
現在、ZENBIではそのお菓子の型がずらりと展示されています。
桜や紅葉など季節の定番の木型から、菊を模った鍵善の代表的なお菓子「菊寿糖」の木型もあります。
▲元治元年(1864年)に新調された木型。幕末、池田屋事件のあった年です!
お茶とお菓子、切っても切り離せない組み合わせを美しく表現するところが日本的です。
まずはお菓子を鑑賞し、口に含んで甘みを感じお茶をいただくとお茶の美味しさが一層引き立ちます。
あぁ、想像しただけでも豊な時を感じます。
この展示の魅力はなんと言っても、実際に使われていた道具であるというところ。
木型を掘る職人さん、お菓子を作る職人さん、お菓子を愛でお茶を楽しむ人々の一連の繋がりも一期一会なのかもしれません。
京都のSOU・SOUへお越しの際はお菓子屋さんの小さな美術館へ立ち寄られてみてはいかがでしょうか。
※展示内容などはご確認の上、お出かけくださいませ。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
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3月に入り、急に春らしい陽気になってきましたね。
母が毎年、床の間に飾ってくれるお雛様を見ると少々枯れかけた乙女心にパッと花が開きます。
起源を辿ると古代中国まで遡りますが、日本へ伝わり独自に発展した文化が今の雛祭り。
雛祭りが近くなると、雛祭りにちなんだお茶のお道具やお菓子が出されることも多く
それがまた、どれも可愛らしく心が「トキメク」という言葉がぴったりです。
そして、京都でよく見かけるお菓子がこちら
「ひちぎり」亀屋良長謹製
諸説ありますが、宮中で忙しさのあまりお餅を引きちぎって作られたことが由来だそうです。
私は母から、あこや貝に見立てた「あこや」というお菓子だと教えてもらいました。
(お店によって名前や意匠に違いがあるようです。)
見た目にも春を感じるひちぎり。
雛祭りは女の子の健やかな成長を願う意味もありますが、
長い冬から春の芽生を待ち望んだ人々の喜びを感じるような気がします。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
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内輪の小さなお茶会、とは言っても私にできる最低限のおもてなしを・・・
と考えた時に必須だったものは3つ。
お茶・お菓子・お花
お茶とお菓子を購入できるお店は此処、京都で困ることはありません。
問題はお花です。
私の母は植物好きで、どこからともなく持って帰ってきた季節の花々を部屋に活けて日々のおもてなしをしています。
「どこからともなく」とは生垣や庭の植物、畦道の草花、散歩途中で出会った方に分けてもらったり様々。
でも、急に都合よく頃合いの花を手に入れることは私には少しハードルが高いな〜。
なんてことを考えていた時に出会ったのが、和花を扱う花屋さんの存在。
京都のSOU・SOUからも程近い「花政」さん(数軒隣は新撰組でお馴染みの池田屋跡)は創業160年を越える老舗中の老舗の花屋さん。
店内には小さな花や実をつけた枝や青々とした葉の椿など、小さくて可憐な山野草や和花が並びます。
日本人だからなのか、それとも自分が野山を駆けて育ったからなのか、和花には洋花の華やかさがなくとも心トキメクような可愛らしさがあります。
さて、床に活ける花を求めに行きましたが、どんな花がどれだけ必要なのかもわかりません。
お店の方に花を活ける場所と花入れと用途を伝え、見繕っていただくことにしました。
椿と山茱萸(さんしゅ)の枝。
見たこと聞いたこともない山茱萸、自分では絶対に選べないチョイスで季節の植物を知ることも大切な勉強です。
そして、2週間程経った別の機会に同じように茶室に活ける花を探しに行った時のこと。
お店の方は私を覚えていてくださったようで、その日は前回とは違う趣の椿と雛祭りが近かったこともあり桃を勧めてくださりました。
その際、少し複雑な形状になっていた椿の枝を見て
「この蕾を使ってくださいね、あとこの葉っぱを生かしてください」
と、アドバイスをくださいました。
お茶室のお花には葉の枚数などの決まりがあり、初心者の私は自然の枝木を相手に悪戦苦闘。
いつまで経っても準備が進まず花と戯れるのが想像できるだけに、このアドバイスは本当にありがたかったです。
そのアドバイス通りに活けたつもりですが、やはり先生のようにはいきませんね。
もっと自然に目をやり花の声に耳を澄ませたいと思います。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
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若林を長いことお待たせして完成したSOU・SOUの茶室。
「エルメスのバーキンより長いこと待ちましたー!」
と、若林に冗談を言わせてしまうほど本当にお待たせしました。
SOU・SOUスタッフの皆も茶室の存在すら忘れていたであろう、お日柄の良い日に無事、引き渡しの運びとなりました。
その日、若林の計らいで茶室の試運転も兼ねて私の両親に一服お茶を点てることになりました。
もちろん若林が・・・
ではなく私。私!?
いつぞやの打ち合わせでのこと
若「茶室ができたら君を一番最初に使わせてあげるわー」
私「いやいや、結構です!依頼主を差し置いてそんな厚かましいことできません!」
若「そんなん、関係あらへん。」
私「あ、はい。」
こんな会話が現実になってしまいました。
とは言え、準備って何するんやろ?
道具一式は用意されていたのですが、その他は「好きにしーやー」とのこと。
「好きにしーやー」が一番困るやつや・・・どないしよ。
と心の中でぼやきながら、見様見真似で準備することに。
主菓子には単に私が食べたかった「雪餅」(千本玉壽軒 謹製)を。
お干菓子には伊藤軒×SOU・SOUのお菓子を2種類用意しました。
お花は椿と山茱茰(さんしゅ)。
いや、お菓子ってこんな出し方でもええんやろか?
え?お花ってこれでええんやろか?なんか違う!?
もう頭の中が「これでええのんー?」の大合唱!
お花の具合がどうも・・・ということで母親にラインをしてアドバイスをもらったのはここだけの話。
良いも悪いも、ひとまず親だからいいか!
と、無理やり自分を納得させて、いざ茶室へ足を運ぶと自分の両親と社長の若林夫妻が並んでいます。
緊張などと言葉にできる感覚というより、クラっと立ちくらみがしました。
若林の方を向くと急によそよそしくなり、なんとも言えぬアウェー感。
ですが、最初こそ緊張感もありましたが徐々に和やかな空気になるのは狭い茶室空間ならではのことかもしれません。
ちなみに、緊張した私の手から伝わって柄杓の先からポトっと炉縁にお湯が落ち、真っ新な畳に茶杓からサラっと抹茶が落ち・・・
粗相をしてしまったことで見事に私が「初汚し」の汚名をいただくことになってしまいました。
これで、後から使うスタッフが心置きなく使えると言うことでお許しいただきたいところです。
至らぬことが多く、茶道の先輩方には到底ご披露できるようなものではありませんが、経験として忘れられない一期一会となりました。
正解があるようでない中で試行錯誤しながらの大いなる大冒険。
若林の粋な心遣いに両親共々感謝しかありません。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
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気がつけば、おかげさまで「茶室彼是」も52回目となりました。
そういえばSOU・SOUの茶室ってどうなったの?
ということで、久しぶりにSOU・SOU茶室のお話。
SOU・SOUの茶室は使い勝手の事情なども考慮して、釜を懸ける炉壇(ろだん)を炭ではなく電気にいたしました。
お茶では炭を使ったお点前などもあり、炭の匂いや音、赤々と燃える炭や周りの灰もひとつの景色として愉しみますが、安全性や準備、後片付け、毎度のお手入れなど色々と手間がかかるのも現実です。
炭を使うことはとても贅沢なことだとつくづく感じます。
そういったことを一手に解決してくれる文明の力が電気炉壇。
熱線が回らされているだけでなく、五徳の位置が違う流派ごとの仕様があります。
(しかも、炭に見立てた部分が赤くなる細かい仕様!)
茶室が完成に近づいたある時、何気なく若林が父に尋ねました。
「炉縁(ろぶち)ってどうしたらいいですか?」
炉縁とは、炉の周りの木の枠のことで、茶室を使うのに必須な道具のひとつでもあります。
そんな道具を売ってるところ・・・まぁ、見ることないですよね。
サイズも共通なのかどうなのか?
当然の疑問です。
「普通は道具屋さんで購入したりできますけど〜、作りましょか。」
「ホンマですか〜!ありがとうございます〜。」
と言うことで、炉縁も別注ということになりました。
SOU・SOU茶室のための炉縁は兄が「栗」の木材を使用して製作しました。
納品の際には吸い付くようにピッタリとはめられた炉縁。
簡素で質朴ですが、新しい茶室にしっくりと馴染む木肌が清々しく気持ちが良いものです。
これで準備が整った、そんな気持ちがいたしました。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
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前回の続き
金閣寺内にある「常足亭」が完成したのは2003年の春。
もともとあった常足亭を移築にあたり、解体前のお別れの茶会で施行を依頼された言います。
依頼にあたっては
「将軍にふさわしい席を、その他の一切を任せる。」
とお施主様は申されただけだったそうです。
日本文化の頂点、室町文化の象徴でもあり『鳳凰』がいる場所の茶室。
拝命を受けた祖父は当時、あまりの大きなことに悩みに悩んで熱を出して寝込むほどのことだったとのこと。
そして、考えたことは
「この茶室でどのような茶会が行われ、どのような道具が使われるのか」
と言うこと。
金閣寺について歴史的背景や関連する文化、芸術などを事細かに調べ上げ、自分なりの解釈を通して設計プランを組み立てたようです。
思案の末、祖父は長年ストックしていた材料を出すことにしました。
長年ストックしていたとは「ここぞという時のため」に大切に保存していたもの。
祖父にとっては我が子、宝物と同じです。
ですが惜しいと言うことはなく、中には10年以上も手元に置いたものもありました。
▲当時は内容が難しくて何も分からなかった資料。今となっては当時を窺い知る事のできる唯一のものです。
「金閣寺工法」と名付けた従来の工法とは異なる工法を用いて、何百年も残るであろう茶室に、後世の人たちが目にしたとて恥じる事のない仕事をする。
これは常日頃から祖父・父・兄が口を揃えて言う信念でもあります。
文字通り命懸けで取り組んだ仕事。
一生のうちに一度でもこのような仕事をさせていただけたことを祖父は大変誇りに思っていたに違いありません。
しかし、これに満足することはなく亡くなる直前まで仕事をし生涯現役を貫き通しました。
平成から令和という時代になり、今私が祖父の仕事を窺い知ることができるのは詳細な資料などがあるからですが、大人になってから、親交のあった方から祖父の話を聞く機会が今でも多くあります。
もちろん私の知っている優しい祖父と棟梁である祖父の顔は違いますが、いつも信念を貫き通した人であることに違いはありません。
※金閣寺茶室、常足亭は通常非公開でございます。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
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先日、京都では珍しくしっかりと積雪するほどの雪が降りました。
雪国にお住まいの方には申し訳ないほどの積雪ですが、非日常の雪景色に興奮を隠しきれずにはいられません。
(わざわざ雪の積もったところを歩いたり、雪を丸めたりします!)
雪が降ったその日、たまたま出先でポッカリ時間が空いてしまい高揚のあまり、せっかくの雪景色なのだからと訪れたはこちら。
この景色!京都に雪が降ったら必ずニュースに出てくる、言わずもがなの鹿苑寺(金閣寺)。
京都在住の人が観光地である金閣寺に行く機会は多くありませんが、やはり圧巻の美しい景色です。
金閣寺と言えば黄金に輝く舎利殿があまりにも有名ですが、この金閣寺の敷地内に祖父が携わった茶室があります。
「金閣寺 平成の茶室」などともいわれる「常足亭(じょうそくてい)」という建物。
今思い出すと70代後半の祖父が生前最後に手掛けた大仕事だったような気がします。
もう既に20年近く前のことで、当時まだ中高生で離れて生活していた私には残念ながら興味のないことでしたし、朧げな記憶しかありません。
また大・大・大のおじいちゃん子だった私は祖父亡き後、約10年経った現在まで祖父関連の出版物や映像をあえて避けてきていました。
▲金閣寺の仕事をしていた同時期の祖父と祖母。私は15歳。
ですので、実は金閣寺へも意図的に足が向くことはなく、今回いわば「ノリ」で金閣寺を訪れたことで改めて「常足亭」は一体どんな仕事だったのかを知りたくなったのです。
勝手ですが、皆様にも少しだけご一緒にお付き合いただければ幸いです。
《次回へつづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
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京都に住んでいると当たり前のようになっていますが、京都は和菓子屋さんの件数が日本一だそうです。
しかも、どのお店も歴史と受け継がれる銘菓が存在します。
そんな京都でも老舗中の老舗、恐らく日本で一番有名な和菓子やさん!
「とらや」
御多分に漏れず小さい頃は暖簾の前で「や・ら・と」と読んでいました。
室町時代後期、京都で創業されたとらやさんは現在も京都御所のお隣にお店があります。
冠婚葬祭、贈答品、季節の行事にとらやさんのお菓子には絶大な信頼感があるのは、きっと私だけではないのではないでしょうか。
さて、京都の一条にあるお店には菓寮が併設されており、お庭を眺めながら美味しいお茶とお菓子をいただけます。
とらやさんが大好きな私にとって、お正月には初詣よりも外せない場所です。
一月の松の内には「花びら餅」。
花びらもちは宮中行事食の「菱葩(ひしはなびら)」を元に作られ、明治時代に裏千家のお家元が初釜でお使いになられたのがきっかけで全国で親しまれるようになったそうです。
お餅の中には蜜炊きされた甘いゴボウと塩味の味噌という不思議な組み合わせですが、見た目もさることながら完成された控えめな美味しさは、なんとも京都らしい雅なお菓子。
残念ながらこちらの花びら餅は期間限定ですので、次に口にできるのはまた来年となります。
ですがもう一つ、個人的に声を大にしてオススメしたい!とらやさんの銘菓がこちら。
「虎屋饅頭」
「べっぴんさん」な見た目の虎屋饅頭は蒸すことでふんわりと広がる甘い酒の風味にふわふわしっとりの生地と餡子がたまらない酒饅頭。
シンプルなだけに誤魔化しのない真っ直ぐな美味しさは心までほっこりとさせてくれます。
私のこの説明で美味しさの魅力をお伝えできるかわかりませんが・・・
とにかくおかわり5つくらい食べたくなる美味しさなのです。
毎年、お正月に家族で新年のご挨拶に伺う先で必ずいただいていたこの虎屋饅頭。
一段と冷えるお正月に、蒸したてで湯気の立つふんわりふかふかの虎屋饅頭とお薄。
なんて幸せなんだろう!と子供ながらに思い、大人になっても一年に一度の楽しみでした。
なかなかご挨拶に伺えないご時世となってしまいましたが、今年はとらやさんでいただくことができて幸せなひとときとなりました。
お茶の文化とともにお菓子も様々、特に京都は一年を通してお菓子で季節を感じることも多くお菓子屋さんを巡るのも楽しいかもしれませんね。
また、季節のお菓子をご紹介できればと思います。
《つづく》
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それでは、また明日。
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皆さま、こんにちは。
一年の後半はハローウィン、クリスマス、年末と怒涛のような季節行事が続き、新年が明けってあっ!という間に半月が経ちました。
月日が経つのは早いものです。
色々な行事がありますが、私は最も日本的なことを実感できるお正月が大好きです。
地域や家によってもお祝いの仕方が違うのも楽しいですね。
▲「隋處作主(ずいしょにしゅとなる)」正眼寺宗玄老大師讃
今年も家族と静かに迎えたお正月。
親戚が集まったり、来客がなくともお正月の室礼はなんとも言えない厳かな空気と清々しさを感じます。
我が家の玄関には勇しい寅の色紙が登場しました。
12年に1度しか登場しないのが少しもったいないような気もします。
色々なことが制約されていた日々の中で、茶道の世界でも「2年ぶり」に新春をお祝いするお家元の初釜が行われたと言うニュースを目にいたしました。
色々と工夫された初釜は2年前とは少し様子が違うようですが、その「心」は変わらずに続けられていることに大変感銘を受けました。
私も日々のお稽古で学び、また季節を五感で感じてお茶を愉しむ。
そんな一年になればと思います。
2022年が皆さまにとって恙無く健やかな日々になりますようお祈り申し上げます。
今年ものんびり『ひとりごと』のような、あんな話やこんな話にお付き合いいただけましたら幸いです。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
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【番外編】
お茶をはじめて知ったことがお道具を愉しむこと。
美術館などに行くと、「利休作」「光悦作」などと書かれた道具が並んでいます。
「自分で作っちゃうのか!」
っと思わず思ってしまいましたが、茶人たちは茶杓や茶碗などを自作することで芸術性や個性を演出していたようです。
そんなふうに道具を自作してアッ!と驚かせてくれたのが、私の義姉。
建築家でもありデザイナーの義姉は長年、カーボンファイバーと言う日本で生まれた新素材を使用して家具などをデザインしています。
カーボンって・・・よくわからないけれど、宇宙開発とかレーシングカーとかのパーツに使われている。
私はそんな程度の知識しか持ち合わせていませんが、いかにも現代的であることは言うまでもありません。
そんなカーボンを使ってデザインした、炉縁(炉の周りの枠)と茶杓。
漆黒の表面は市松模様のようになっており、どことなく私たちに馴染みのある雰囲気ですが、素材はカーボン!茶室では見たこともない異素材です。
▲茶杓の銘は「濡烏(corbeau moillé)」
最先端素材なので、さぞ自動化された工程を経て制作されたのかと思いきや、制作秘話をよくよく聞いてみると、曲線や折り曲げた面の細かいディティールを表現させるためには最終的には職人さんの技術が必要だそうです。
「最先端なのに手で作るの!?どうやってできるの!?」
そんな道具を通しての会話も楽しいものです。
もしかすると、過去の茶人たちも自慢の道具についてあれやこれや会話していたかもしれませんね。
▲折り曲げた部分の模様が自然で均一になるようにするのが職人技の光る箇所
現代的でありながらも最終的に人の手によって作られる、そんなところがこの炉縁や茶杓が持つエピソードであり歴史になるのだと思います。
いかにも伝統が重んじられている印象の茶湯の中にも、新しい自由な表現があることがとても楽しいです。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【番外編】
朝夕の冷え込みも一段と冬の気配を感じさせるようになりました。
街中はハロウィンからクリスマスへと急に年の瀬感を迫り立ててきます。
でも、その前にちょっと待ってー!!
っと思わず言いたくなる行事があります。
先週の11月11日は「亥の子の日」でした。
あまり馴染みのないお祝いごとかもしれませんが、お茶の世界では「炉開き(ろびらき)」を行う大切な日です。
夏の間は少しでもお客様に涼しく過ごしていただくように、火を遠ざけ小ぶりな釜を使ってお点前をしますが、段々と寒さが深まる季節には囲炉裏である「炉(ろ)」を開けて大きな炭を使い釜に湯を沸かして暖をとります。
そして、初夏頃に摘み取られた新茶が入った壺を開封し、茶を挽いて皆でその年の新茶を祝いいただく「口切りの茶事」が行われます。
季節を改め新茶をいただく、お茶の世界ではとても大切な行事であり「茶人の正月」とも言われています。
おっ、炉開きと言うことは「亥の子餅」を食べる日だ!
▲今年いただいた亥の子餅は亀屋良長謹製
と、日本の古き良き習慣を自身の食い意地で記憶してしまっていますが、なぜ「亥」なのでしょうか?
調べてみると、陰陽五行説で「亥」は水性に当たり、火災を逃れるという信仰があるそうです。
昔は木造の建物が多く、何よりも火災が恐れられていました。
そのため、亥の月の亥の日に、炉(囲炉裏)を開くと火事にならないとされたそうです。
今日ではこの日に炬燵や暖房器具を出すと良いそうですよ。
また、小豆や胡麻などの穀物を使った餅を食べ無病息災を願い、子沢山の亥にあやかり子孫繁栄の想いも込められています。
毎年深い意味まで知らずに、こう言うものか・・・と思っていた季節の行事も、調べてみると理に叶うことに驚きます。
なにはともあれ、また季節が巡り気持ちも新たにお稽古に励みたいと思います。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【番外編】
もしも、マイホームを建てるならきっと内装にもこだわりますよね。
インテリアや壁紙・・・夢は膨らみます!
一見どれも似たような印象の茶室ですが、茶室もちょっとしたこだわりを光らせることができるところがあります!!
「京唐紙(きょうからかみ)」という紙。
「唐」と付くぐらいですから中国渡来の紙で1300年ほど前に日本に伝わったと言われています。
美しい文様を施した唐紙は貴族たちの和歌や写経をしたためるための紙として使用されていましたが、後に寝殿造りの住居や寺院、茶室の襖や壁、屏風などに使われるようになりました。
我が家の茶室も広間の襖には笹の葉がモチーフになっている唐紙が使われています。
唐紙の文様は木版で刷られており、キラキラとしたパールがかった光沢は「雲母(きら)」という鉱物を混ぜた絵具(えぐ)を使用しいるためだそう。
唐紙の柄は植物がモチーフになっていたり幾何学模様のようなものなど伝統的でありながらモダンで洗練された柄ばかり。
公家好み、寺社好み、茶方好みなど、文様によってそれぞれの系統があるようですが、どれもこれも現代に通づるデザインです。
たくさんある柄の中から、用途や好みによって選ばれる襖の唐紙。
想像しただけで楽しいですよね!
私の手元にある唐紙は、サンプルを見ているだけでも見飽きない!という状況を見かねた父が、とある表具屋さんからいただいてきた切れ端。
切れ端ではありますが、一枚一枚職人さんが手で擦った唐紙、決して無駄にはできません。
今では襖だけにとどまらず、壁紙やランプシェードなど私たちの身近なシーンでインテリアとしても使用されています。
何百年も昔からある文様が「デザイン」として成立し、今見ても色褪せず洗練されているのはその時代の芸術性の高さなのでしょうか。
いつか、SOU・SOUのテキスタイルも文様として唐紙になったりしたら楽しいな・・・。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【番外編】
私だけかもしれませんが、家の間取りなどを見るときに〇平米と言われるよりも、〇畳と言われる方が凡その大きさを想像しやすいです。
正確に畳の大きさを把握していなくても、なんとなく畳一畳の大きさが身体に馴染んでいるような気がします。
しかし、もしかすると日本人の中でもその大きさの感覚に違いがあるかもしれません。
「京間(きょうま)」と「江戸間(えどま)」
と言うものをご存知でしょうか。
実は関西と関東では畳の大きさが違うのです。
うどんの出汁じゃあるまいし!
と思うところですが、地味に違う畳の大きさ。
その地味な大きさの違いも、実は単純なことでもなさそうです。
京間の畳の大きさ 6尺3寸(約190㎝)
江戸間の畳の大きさ 5尺8寸(約175㎝)
京都では建物を建てる際に畳の大きさを基準にし、畳の外側で柱の位置を決めるのに対し、江戸の大工さんは柱の中心から柱の中心までの距離を基準としたため、江戸の畳の大きさが小さくなるのです。
さて、茶室は基本的に「京間」ということになります。
私がお稽古に行っている流派では「半畳3歩」つまり一畳を6歩で歩きましょうと教えられます。
また、お点前の際にも先生は「お道具は3目離して置きましょう」とか「お隣は5目離しましょう」とか、畳の「目」を目安にお道具の置き場所や座る位置を教えてくださいます。
したがって、畳の大きさや畳の目の数はお稽古を進める上で大切な「ガイド」の役割を果たしています。
最初のうちは足を運ぶ際にも心の中で「いち、にい、さん、いち、にい、さん」と数えながら足を運んでいたのですが、近頃ようやく身体に馴染んできた足の運び。
(そうは言っても、歩数が余ったり縺れたりすることはしょっちゅうあります!)
もしも畳の大きさが違えば私のような若輩者は混乱するに違いありません。
当然のように敷き詰められている畳ですが茶室の畳は実は計算され尽くした配置。
極端なことを言えば、障子や柱がなくとも畳さえきちんと配されていればそこは立派な茶室になるような気がします。
畳って奥が深いなぁ!
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
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あしからず御了承願います。
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SOU・SOUのスタッフ同士の会話でお茶のお稽古の話題になることがしばしばあります。
「こんなお道具で、あんなお点前で、とにかく正座が辛すぎる」
内容は概ねこんな感じです。
「とにかく正座が辛すぎる。」
正座はお茶のお稽古の試練とも言うべき避けられない現実。
幸い私は正座が苦にならないラッキーな体質なのですが、人によっては慣れたり慣れなかったりするようです。
「畳」は茶室に限らず、日本の建築とは切り離せません。
SOU・SOUの茶室ももちろん畳です。
家に畳の部屋がなくともやっぱり畳の部屋は落ち着く!なんて人も多いと思います。
身近でありながら需要が減り続けている畳。
SOU・SOU茶室の畳は京都にある高室畳工業所に依頼して納めていただきました。
「ピンからキリまで」という言葉がありますが、畳にもピンとキリがあるようです。
もはや日本産ではない畳まである中、日本で最高級と言われる畳は「中継ぎ(なかつぎ)畳」と言われるもの。
通常は一本の藺草(いぐさ)を根本から穂先まで使うものを、あえて中間のいい部分だけを切って継なげて編み込む。
そのため畳の中央には薄ら継いだ部分が線になって見えます。
また、畳の縁(ヘリ)は麻を本藍染めで染めたものを反物にし、縁のためだけに使用されるそう。
ちなみに中継畳は、京都迎賓館や表千家不審庵でも使用されているそうです。
父曰く足あたりが全く違うとのこと。
▲SOU・SOU茶室の畳の縁も麻の本藍染め
日本で極僅か、とびきり希少なこの技術をお持ちの高室さん。
コストが安い畳に圧されて「中継ぎ畳」の技術が継承されていかなくなることは残念なことです。
なかなか中継畳はお目にかかれる機会がありませんが、SOU・SOU茶室の畳も正真正銘、昔から日本にある藁床の畳。
しっかりとした弾力で、耐久性にも優れています。
足の痺れを見守るのは伝統的な技術を守る職人さんの叱咤激励なのかもしれませんね。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【番外編】
SOU・SOUでお菓子と言えば「和菓子になったテキスタイルデザイン」ディレクター、企画室の橋本。
SOU・SOUでは毎週、橋本がセレクトした全国津々浦々の銘菓をお抹茶と共にスタッフみんなでいただきます。
伝統的な銘菓からアッと驚く銘菓まで毎週、口福なひと時を味わい、これは!と思うお菓子は栞を持ち帰ることも多々あります。
お茶には欠かせないお菓子。
本日はお菓子にまつわるお気に入りの一冊をご紹介します。
「菓子珊珊(かしさんさん) 茶人が選ぶお菓子と器」
郷土のお菓子をどのような器と取り合わせるかを主題に、茶道の機関紙に連載されていたものをまとめられた一冊。
まず驚くことは、季節ごとの日本全国の郷土のお菓子のバリエーションは圧巻です。
中には手作りのものもあります。
そして器は茶道具でないといけないのかと思っていたのですが、由緒正しい塗りの器から世界中の民芸品や貝など異国情緒漂うものまで、実に様々。
あ、このお菓子は旅のお土産にいただいたことがあるな、これは祖父の好物だったな・・・
などと頁をめくるごとにワクワクする、まさしく銘菓の旅へ出られる一冊です。
全国各地の数ある銘菓、いつか皆さんのお住まいの地域の銘菓にも出会える日が来ますように。
《つづく》
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それでは、また明日。
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さて本日はSOU・SOU茶室のこと。
茶室には「水屋」というお点前の準備をするお勝手のような場所があります。
紆余曲折、限られたスペースでなんとか水屋スペースを確保したところで唯一、若林の要望があったのです。
「水屋でお湯が出て欲しい」
水屋について無知な私は帰宅後、その要望をそのまま父に伝えました。
「若林さんが水屋でお湯が出て欲しいって言うてはるねんけど。」
設備的には不可能ではないだろうと想像していた私。
しかし、父は真面目な顔で私に淡々と説明し始めました。
水屋では、お点前の準備としてお茶碗などの大切な道具を扱います。
今の時代でこそ水屋に水道の蛇口がついている場合がありますが、基本的には水瓶に水を張り柄杓を使って支度をします。
蛇口が付くことによって万が一、大切な道具をぶつけてしまったりしては一大事なので本来は金属的なものがない方が好ましい。
しかもSOU・SOU茶室は室内の中で、別の場所に水道もあるので蛇口は必要ないのではないか・・・お湯が出ることで傷みの原因にもなるよ。
諸々の話を聞いたのち、父から「もう一度、若林さんに伝えてみなさい」と言われ、翌日重い足取りで若林のもとへ出向き、お湯は不要なのではないかと・・・説明を終える前に若林から出てきた言葉は
「お湯が出たらアカン理由にはならへんな」
「いや・・・それはそうなんですけどー」
と私の返事は先細っていき返す言葉もなくなってしまい,
父もそこまで言うなら混合栓(お湯も出る蛇口)を探そう!と言うことにおさまりました。
その時のメモを見返すと、私の自信なさげな字で
「(お湯が出るのが)アカンわけではない」
と小さく書いてありました。
こういう時には父と若林が直接やり取りすればいいじゃないのかと何度も思ったのですが、ほとんどのやり取りで私を間に入れてくださったおかげで、私には大きな学びがあったこととも事実です。
ちなみに若林の「お湯」への想いは、自らのお稽古場の水屋の水が冷たすぎるという理由らしいです。
たかがお湯、されどお湯。
今でこそ笑い話ですが、SOU・SOU茶室の水屋の蛇口を見るたびに思い出しています。
《つづく》
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それでは、また明日。
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SOU・SOUに入社してからお茶のお稽古をはじめたので、この秋で5年目になりました。
色々なことを覚えては忘れ、たまに休憩(サボりです・・・)したりして、優しい先生の元でのんびり続けています。
正直なことを言えば、逃れられない状況となりはじめたお茶のお稽古。
はじめのうちは格段に楽しいとも思えず、かと言ってつまらないのかと言えばそうでもない。
一度聞いただけで理解が深まることもなく、わかりやすい成果はほぼ無いのです。
ですので、未だに大きな声で「お茶を嗜んでおります」と言うのはなんともおこがましい気持ちになるのですが、止むに止まれず「お茶を少々・・・」と奥ゆかしげに言ってみるも、中身が伴っておらずとても申し訳ないやら切ない気持ちになります。
とにかく言葉にできない不思議な感覚がいっぱいのお茶の世界。
そんな話を、かつて近所に住んでいた漆芸家の室瀬和美先生にお話ししたことがあります。
いつも穏やかなお人柄で、漆の話やお茶の話などお話ししてくださるのですが、
室瀬先生は私がSOU・SOUに入社してお茶のお稽古をはじめたことをとても喜んでくださり、こんなことをお話ししてくださいました。
「お茶はね、もちろん基礎も大切だけれど決して動きが大切なわけではない。
お茶の中で出会う人、道具、空間、時間、それがとても大切でね、その全てを創り出しているのが君のお父さんなんだよ。」
その時は、ふむふむと思いながら聞いていたと思うのですが、なぜだかその言葉だけきちんとメモに書き留めてあったのです。
先日そのメモをたまたま見つけ、今改めてなるほど・・・とほんの少し腑に落ちる感覚があります。
月並みな言葉で「深いなー」なんて、わかった気になってしまうことも少し違うとも思います。
お稽古を続ける限り、一生分からなくてもいいのかもしれません。
わからないなりにもお稽古はこれからも気長に楽しもうかと思います。
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それでは、また明日。
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忘れもしない、二十歳の冬の日のことです。
東京の現場で仕事をしていた父の元を、学校帰りに訪ねては父の仕事を眺めていることが度々ありました。
いつものように現場を行くと、その日は京都から表具師さんがやってきて黙々と作業をしていました。
「表具師(ひょうぐし)」というのを認識したのはこの時かもしれません。
表具師は掛け軸や屏風、茶室であれば障子や襖などの「紙」の部分を担う茶道や数奇屋建築とは切り離せない職人さんです。
和室が少ないと言えど、まだまだ日本全国にいるであろう表具師。
なぜ東京の現場にわざわざ京都から職人が来ていたかというと、その答えは茶室の表具にあります。
もし、ご自宅に障子がある方はぜひ見比べてみてください。
何が違うかお気づきですか?
茶室の障子には障子の真ん中にところどころ線が入っています。
これは「継張(つぎばり)」(「石垣張り」とも言います)という手法。
あえて紙と紙をつなぎ合わせています。
今は障子紙といえば建具に合わせた大きな紙がすぐ手に入ります。
ですが、昔は手で漉いた紙がとても貴重な物で、障子に使用する紙を少しも無駄にしないため継張りになったそうです。
後付けかもしれませんが、継いである部分が美しい陰影となりデザインとして成立しているようにも思えます。
この貼り方も流派によって少し違いがあるのですが、SOU・SOU茶室は継張りの意味合いも考えて、より合理的で紙を無駄にしないように表千家の貼り方になっています。
さて、話は戻り表具師の職人さんに出会ったときのこと。
私はこの時に初めて継張りの障子を知りました。
「お嬢ちゃん、お家の障子見てみぃなぁ、全部ちゃんと継張りしてあるさかいにー。」
なんと!自分の家の20年目の真実!
お恥ずかしい話、いかにぼーっと生活していたのかがわかる衝撃的な出来事でした。
サーッと紙を断つ音、僅かな幅に紙を継ぐ時には思わずこちらの息がグッと止まるほど。
無駄のない職人の手元は見飽きない動の美しさがあるものです。
そして、ただ紙を張るだけはありません。
湿気や乾燥などの影響を受けやすい和紙、あまり強く張りすぎても弱く張りすぎてもいけない。
そして紙によって「張り」の具合が変わるため、糊が乾いた状態を想定しながら調整して張っているとのこと。
上等な紙ほど扱いがややこしいそうです。
これが職人技か!と、えらく感動して表具屋さんが来る日はいそいそと現場に同行していました。
その時に出会った職人さんに、SOU・SOU茶室の障子もお願いしました。
障子紙はSOU・SOUともご縁のある京都の静好堂中島さんから。
ちなみにSOU・SOU茶室の障子紙は京都迎賓館と同じ障子紙を使用しています。
それを知ってから、万が一のことがあったら怖いので障子には近寄らないようにしています・・・。
《つづく》
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手前味噌ではありますが、未だにスゴイなー!と思うことは若林が初対面の父に対して茶室を依頼する際「好きにしてもらったらいいので、お任せします。」と言ったこと。
美容院に行って「お任せで」と言いつつも、つい要望を言ってしまうであろうに、お任せと言い切ってしまうところが凡人(私)には理解できないです・・・。
とは言いつつも、広大な土地に「さぁどうぞ!」というわけではなく、スペース的にはかなり限られたSOU・SOU茶室。
特に床の高さには相当、頭を悩ませたようです。
以前にもお話したように、茶室として使用するにはお釜をかける「炉(ろ)」が必要。
ご覧のように、床より低い位置にすっぽり釜が入るだけの深さがあります。
▲釜の下には灰と炭、五徳があります。灰や炭の扱いにもお点前があるので、炉は必須という結論になりました。(自宅の茶室にて)
SOU・SOU茶室は建物の中なので、床下にも天井にも余分な空間がありません。
当然、炉の分の床をあげることになるのですが、茶室全体の床を上げると今度は入り口部分の床の高さが問題になります。
茶道では度々お辞儀をする場面があります。
もちろん一つ一つのお辞儀に意味があり、それもまた欠かせないものであるのです。
お茶のお稽古で一番最初に習うことは、お点前ではなくご挨拶(お辞儀)の仕方かもしれません。
お辞儀は相手や場に対する敬意でもあり、これからの進行を知らせる合図でもあります。
ですので、床が上がった分を階段のように一段上がって出入りするというわけにはいきません。
かと言ってその分、茶室の外に床を広げるわけにもいかず・・・考えられたのがこちら。
一見、床が上げられただけのように見えますが、
引き出してみると木の板が出現します。
さらに組み立てると簡単に床に早変わり。
1人が正座して座れ、側にお道具も置けるだけの小さな床が出現。
ちなみに床の下は少しだけ物を収納できるようになっています。
少しわかりづらいですが、実際に使用した様子がこちら。
3月に放送されたケンメイラジオでのひとコマ。
畳に踏み出す最初の一歩、移動の歩数さえもきちんと決まりのあるお茶では襖を開ける前が意外と大切。
茶室に入る前に一旦、心を落ち着けて最初の一歩を踏み出します。
ちょっとしたことなのかもしれませんが「使える茶室」にするためは必要不可欠な仕組みでした。
逆に考えると、どんな環境でも工夫次第で茶室にできるということでもありますね。
《つづく》
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それでは、また明日。
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もうすぐ9月9日、重陽の節句です。
重陽の節句、あまり馴染みのない方もおられるのではないでしょうか。
【重陽の節句について豆知識】
この世のものは全て「陰」と「陽」で成り立っており、数字の奇数は「陽」を表しており縁起がいい数字だと考えられました。
中でも「9」は「陽」の気が最も極まった数字とされています。
つまり9月9日は「陽」の数字が2個「重」なった日で「重陽」となり、最も縁起が良くおめでたい日なのです。
数学的意味合いではなく文化的意味合いにおいても、「数」の考え方は様々ですね。
本日はそんな「数」に関するお話です。
前述の話にも「奇数」と言う言葉が登場しましたが、茶室にもきっちり奇数の場所があります。
それはこちら・・・
連子窓(れんじまど)の竹の数。
SOU・SOU茶室は全部で13本。
窓の大きさによって奇数になったり偶数になったりするのではないかと思いきや、これには奇数の理由があります。
茶室の歴史では電気がなかった時代の方がはるかに長いですね。
そんな時代の先人たちは、陰影の中の世界に美しさを感じたことだと思います。
障子紙を透けて時を刻む光、薄暗い中で蝋燭の火に揺れる光。
「陰」と「陽」まさに谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」の世界。
そしてこの「影」を通してみたときに竹の格子が偶数では中心がなくなり、なんともバランスが悪い。
ここは奇数で中心を定め左右平等にするのが美しいとのことから奇数なのだそう。
ちなみに数は関係ありませんが、竹の節も同じ位置に横なら見にならないよう全てずらしてあります。
残念ながらSOU・SOU茶室は室内にあるため外光の影響を受けにくく、影にはなりづらいのですが奇数できちんと施工されています。
こちらは我が家の茶室の下地窓から。
どの時間帯も良いのですが、個人的には早朝の静けさの陰が美しく感じます。
「まあどう云う工合になるか、試しに電燈を消してみることだ」
(谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」より)
《つづく》
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